ウタコイ １４２ まふまふside ページ25
がちゃん、と音を立てて、キラちゃんと夏瀬さんが入って行った部屋のドアが開いた。
2人は、前より柔らかな雰囲気で帰ってきた。
すぐにわかった。あぁ、大丈夫だったんだなって。
なにをしたかはわからないけど、あの子は夏瀬さんの心の扉をこじ開けたんだ。
夏「…歌詞太郎さん、わたし、シェアハウスを出て行きますね」
そう告げる夏瀬さんは晴れ晴れとした笑顔で
夏「憧れてきたキラちゃんといっしょに住めるなんて願ってもない環境だけど、私、もっと歌うまくなって、胸を張ってキラちゃんと話せるようになってから戻ってきたい」
さっきまでの毒々しさなんて、かけらも残ってなかった。
「夏瀬さん…私、そんなに大層な人間じゃないんだけど…」
そう宣言されたキラちゃんは申し訳なさそうに笑う。
夏瀬さんはそれを見ると
夏「もう、何から何まで可愛くてずるいんだから。だからかなあ、この子にはどうやっても勝てない。そう思ったんだよ。
好きすぎて、憎くなっちゃったんだ。愛憎って、こういうこと言うんだね。」
そっと肩をすくめた。
それで僕たちは理解できたんだ。
この子が今に至るまでしてきた行動の、動機の一部分を。
「…ときどきは、遊ぼうね？
私、せっかく、話せるようになったのに、こんな…」
…これを、計算じゃなくやってしまうキラちゃんはなんなんだろう。
すると夏瀬さんは、ぎゅーっとキラちゃんを抱きしめた
夏「ふふ、あったかい。ありがとう、そんなこと言ってくれて。許してくれて。
さっき、私を責めるでもなんでもなく、キラちゃんが私をこうやって抱きしめて許してくれたから、間違いに気がつけた。
だいすき。だいすきだよ。時々は遊ぼうね。」
…やっぱり僕は、キラちゃんを悪く言って傷つけた夏瀬さんを少し許せないけど。
だけど、それでも。
ま「…キラちゃんがそう言うなら、シェアハウスに時々遊びに来てもいいよ」
そっぽ向いて夏瀬さんに言った。
そらるさんたちも頷いてる。
それからすこしして、Twitterのあれこれもおさまり、この騒動は幕を閉じた。
ウタコイ番外編＊お誕生日おめでとう→←ウタコイ１４１ 夏瀬柚木side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑のさくら(プロフ) - こんな時期外れに失礼します！すっごくよかったです！！！めちゃくちゃほっこり、時に緊張して見てました！で、質問なんですけど、最初のほうに今は居ない入居者3人目は誰なんですか…? (2018年11月5日 22時) (
レス) id: cc75d0bcae (このIDを非表示/違反報告)
神咲のあ(プロフ) - amiさん» わああ、本当にありがとうございます！読んでくださってるってだけで嬉しいのにそんな褒められたらもう泣いてしまいそうです。これからもぜひよろしくお願いしますね！！笑 (2017年4月23日 20時) (レス) id: 0cca539cb5 (このIDを非表示/違反報告)
ami - 完結お疲れ様です…!!本当にウタコイ､というか神咲さんの書かれる文が好きでずっと読ませて頂いてました！素敵な作品を有難うございます､新作も楽しみにしてます…!! (2017年4月20日 0時) (レス) id: f8ef673c3c (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 神咲のあさん» モチのロンです！これからも頑張って下さい！作者様のファンですので！ (2017年4月10日 17時) (レス) id: fbe27b8111 (このIDを非表示/違反報告)
神咲のあ(プロフ) - シェリーメイさん» 毎日楽しみにしてくださってたなんて本当に嬉しいです！あとすこしだけ、ウタコイにもお付き合いくださいねっ！ (2017年4月10日 0時) (レス) id: 0cca539cb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神咲のあ | 作成日時：2016年12月5日 8時
