君の歌に恋をする 4【歌い手】

ウタコイ１３９ まふまふside ページ22

ま「お母さん」

キラちゃんが扉の向こうへ消えていった後、ゆっくりとお母さんの肩に手を添えた。

母「…真冬」

久しぶりの再会が、こんな形になるなんて、全然想像してなかった。

きっと母さんは、僕を守るために、彼女の言うことを聞いてここにきてくれたんだろう。

むかし僕がたくさんの人からいじめられて、本当に耐えきれないくらい辛い思いをしていたのに気がつけなかった罪悪感が、母さんにはあるから。

あの時は、ひどかったなあ。

夜中にパジャマのまま玄関まで引きずり出されて殴られたこともあったっけ。

それを、そらるさんが助けてくれて。

でも、そんなことがあったせいで僕は人が嫌いになってしまって、そらるさんのすすめでシェアハウス入った後みんなに『お前らなんか嫌いだ、消えちまえ』とかいって飛び出してって。

そこを、むかし僕をいじめてた奴らに見つかって、また殴られそうになった時、みんなは僕がひどいこと言った直後なのに、自分の身も顧みず助けてくれたんだ。

今でも初対面の人とかはちょっと苦手だけど、前よりは良くなった。

だからもう、母さんが気に病むことなんてないのに。

母「真冬…お母さん頼りなくてごめんね。守ってあげられなくてごめんね。」

ま「もう、大丈夫だよ。母さん…」

僕こそ、辛い思いさせて、ごめんね。

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