君の歌に恋をする【歌い手】

ウタコイ２５ そらるside ページ27

そ「あ、サクの新曲あがったんだ」

キラにちょっとした意地悪をしたあと、スマホに通知が来てたのを見つけた

サクの新曲が上がったら通知が来るように設定してあるという熱の入りっぷり、我ながらすごいよね

えっと、空の足枷…？

動画の説明として、一文添えられていた

『新しい場所での挑戦には過去の足枷がつきまとう』

…端的な文

ここでこの曲聴くのはまずいかな

感動して泣きかねない

この曲は、サク自身の体験から来たものなのだろうか

説明の文がやけにリアルで心に刺さった

サムネイルはなんとも言い難い色をした空

夕暮れなのか、日の出なのか

空想なのか、現実なのか

それすら、わからない

…でも、すごく綺麗だ

繊細で、儚くて、でも強くて

早く曲を聴きたいから、さっさとご飯を食べおわす

食器を手早く台所まで運ぶと、まふまふが俺のことをガン見してた

そ「…なに？」

ガン見している割になにも言わないから、自分から聞いてみる

ま「…っ、なんでも…ない、です」

語尾に行くにつれて声が小さくなっていく

あ、これはなんでもある

…あとで、話聞き出そう

ひとまず、部屋に帰ってサクの新曲を聴きたい

スマホをいじりながらリビングから出て、部屋まで戻る

そしてイヤフォンをし、曲を流し始めた

…あれ、このイントロ、どっかで…

不思議と、その音色を知ってる気がした

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