推しと運命だなんて聞いてない【太宰治】

1話 ページ2

「じゃあね、Aちゃんまたね！」

「うん、ばいばい！」





私、松田A！横浜に住む中学二年生！部活に学業に、忙しい毎日を送ってます！

…顔は上の下。スペックは普通。そこらへんは神様に感謝です。




なぜこんなに客観的に、少女マンガ風に自分を分析しているのかって？んなもんこれが第二の人生で既に人生を諦観してるからだからだよバーロー‼







前世は文ストオタクとして平凡な毎日を過ごす、しがない社会人だった。それがどうだ。





寝て起きたら赤ちゃんだったのだ。な、何を言っているのか分からねーと思うが…(以下略


普通の感覚なら「嘘でしょ！元の世界に帰してよ！！」となるが、私は違った。「まいっか」と受け入れたのだ。生きがいが文スト(因みに太宰治推し)しかない女だったし。


大きくなって文ストオタアゲインだなあと遠い目をしながら考えたのが幼稚園の頃。





その考えはすぐに崩れた。


母親から貰ったおやつを頬張りながら、ぼうっと眺めていたテレビで放送されたのは「マフィアが…」というニュース。クッキーが気管支に入りしばらくゲホゲホしていた。



は？？？？マフィア？？？我はそんな物騒な世界に転生しちゃったのか？？？？


ここが前世で暮らしていた平和な世界ではないことにようやく気付いた。文スト過激オタだった私は「ワンチャン！ワンチャン文ストトリップあるぞよ！」とワクワクしながらテレビに食いつくも、映るのはマフィアによって壊された建物など被害状況のみ。





テレビに映る美しいアナウンサーは続けてニュース原稿を読む。「マフィアによる異能力により甚大な被害を受け…」



またしてもクッキーくんは気管支に入り、ゲッホゲッホとむせることになる。



ファッ？異能力？？文スト？？本当に文ストなのねありがとう神様！！






どうしよう私も「異能力…」とかできちゃったら！えへ！



しかしまあ、世の中楽しいことばかりじゃないよね。

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