【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ7)

今日:6 hit、昨日:30 hit、合計:216,045 hit

第伍幕ページ7

【眼鏡と真相の誘い】

『私が電話してる間にどうしたの?』

「人虎がみっともなく腹の虫を鳴らせば、餓鬼が美味な食事処で勧めるものを話したまで。それに人虎が乗った」

『そう……?でも龍くんも、』

「僕は断じて、話に参加してない」

『まだ何も言ってないけど……』

「……Aと僕は一昨日から何も食していない。有益な情報を手に入れる為だ。もっとも＿＿＿＿」

そこで芥川は微笑ましく会話をしている四人から、少し離れた場所で話し合っている二人の少年と少女へと探るような視線を向けた。

先程から何かとつっかかってくる眼鏡の少年と、ミディアムパーマの少女。年相応とは言えない大人びた雰囲気に、少し驚く。

「……して、中原幹部との話は?」

『彼方は何とかするから、まずは衣食住の確保。それが整い次第、戻る方法の捜索。探偵社側にも伝えとくって』

「……そうか。一番必要なのは金だな」

『お財布には一応、入ってるけど……』

「僕も同じく、先日の給料と特別報酬が丸々懐に入っている。今日の心配はない」

話が一段落したのか、敦が近寄ってきた。それと同時に先刻の二人も歩み寄ってくる。兎に角、今は子供に構っている暇はない。

「お兄さん達さ、お腹空いてるんだよね?」

「う、うん。そうだけど……」

「じゃあ、ボクが喫茶店まで案内するよ!!ボクの暮らしてるところの下にあるんだ!!」

手のひら返しに驚きつつ、顔を見合わせる。此処で断れば食事をするのも一苦労だ。ならば、誘いに乗るのが合理的判断といえる。

「え!?コナンくん、サッカーやめちゃうんですか?」

「えぇー?もっとやろうよー!!」

「ポアロに行くなら、俺達も……」

「駄目だ！！」

眼鏡の少年改め、コナンと呼ばれた少年は凄まじい剣幕で三人を怒鳴り付けた。これには敦とAがぎょっとして目を見開く。

灰原、と軽く呼び掛ければ、大人びた少女が三人の背中を叩き、コナンに目配せをする。気を付けて、と言っているのがバレバレだ。

「私達は博士の家でゲームでもやりましょ」

「「「やったー!!」」」

「じゃあね、お姉さん達!!」

「ほら、置いてくわよ」

「「『……』」」

これはあれだ。子供の扱いが圧倒的に上手い母親だ。いや、母親とか知らないから分からないけれども。多分、絶対そうだろう。

「じゃあ、行こっか、お兄さん達」

『……うん、案内宜しくね』

それが地獄(ハーデス)への扉だったことを。彼等はまだ知らなかったのだった。