【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ31)

今日:11 hit、昨日:10 hit、合計:216,145 hit

第弐拾玖幕ページ31

【乙女の花園】

毛利蘭はこの喫茶店ポアロの常連客である。このビルの上の階に住んでいるのはもちろん、ここの店員である安室が父の一番弟子。

朝食をご馳走になったり、事件に居合わせたりと何かと親しい関係だ。そして何より、親友の鈴木財閥ご令嬢である園子が理由。

彼女はイケメン好き(彼氏持ちだが)で、一週間に数回ほど足を運ぶ。イケメンは安室で、顔も覚えてもらっている仲までいった。

「ちょ、ちょっと蘭!!」

「何よ、園子」

「アレ!!アレ見てってば!!」

肩をバンバン叩かれながら、ポアロを窓ガラス越しに見る。見慣れない客が五人。カウンター席に座っているのが分かった。

その五人とも全員がものすごい美男美女。これには蘭も乙女らしき興奮をするわけであって。店員達が休みの店内へと足を運んだ。

「殺したいほど死んでほしいですね」

「色が同じものは食べ合わせが良い」

『いやだからって……』

「苺ぱふぇに唐辛子は僕に理解できぬ」

「苺ぱふぇ!?僕にも一口……、おぇっ」

『敦くん生き返ったけど、また死んだね』

その光景は悲惨な光景だった。カウンターの上には、コーヒーに紅茶に焙じ茶。いい香りがしないのは、そこに交ざるイチゴパフェ。

それに唐辛子がこれでもか、というほどにぶちまけられていた。園子は顔色を青くし、蘭は口元を抑えて唖然とする。何だろ、あれ。

さっきまで机に突っ伏していた白髪のイケメン(同い年ぐらい)が、瞬時に起き上がったがイチゴパフェの残骸を見て、また突っ伏す。

それを平然と美味しそうに食す、長い黒髪のイケメン。それを禍々しいオーラで見守る、白髪に毛先が朱色の知的なイケメン。

その横に居るのは、同姓ですらうっとりと見とれるほどの美貌の女性。そしてその更に横に、黒髪に毛先が白い恐そうなイケメン。

「何あれ、美味しいの……?」

「いやいやいや、絶対あのイケメンが可笑しいだけでしょ。勘違いしちゃ駄目よ、蘭」

可愛い系白髪、長い黒髪、知的な白髪、美女、恐そうな黒髪の順で座っている席から、いつの間にかイチゴパフェは消えていた。

「ね、話しかけてみようか!!」

「え!?無理だよ……」

「大丈夫だって!!あの、すいません!!」

蘭の抗議も虚しく、園子のカウンター席の五人組に声をかける。即座に女性の方が振り向き、ワンテンポ遅れて男性陣が振り向いた。

『はい、どうかしましたか』

「いえ、初めて見た顔なんで、つい」

デレデレと顔を真っ赤に染めた園子が、蘭の背中に少し隠れる。蘭は呆れつつも、不思議な集団に向き合ったのだった。