【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ4)

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第弐幕ページ4

【少年少女と蹴鞠】

言葉を失い、互いに顔を見合わせること数分。敦の足元に鞠(ボール)が転がってきた。白黒の五角形で埋め尽くされている。

「すいませーん!!」

「あ、これ?」

球が転がってきた方向から来たのは、五人組の子供。年齢はまだ七、八程度。Aは球を拾い上げると、眼鏡の少年に渡した。

『どうぞ＿＿＿＿＿』

一瞬だけ、息を詰まらせた。刺すような視線だ。痛くも痒くもない、殺気も含まれていない視線。だがそれは、疑いと警戒があった。

その視線を向けたのは二人。眼鏡の少年と、奥にいる癖毛の少女。それに芥川も気付いたのか、少し眉を上げて二人を見つめる。

「姉ちゃん達、洋服がオセロみてぇだな」

「今は夏なのになんで長袖なの……?」

「え……?」

敦も気付いたのか、Aと芥川に目配せする。長袖なのは極度の寒がりだから、では駄目だろう。三人もなんて可笑しな話だ。

マフィアである芥川とAは当然だ。敦は探偵社の社員が買ってくれたものらしいが、言われてみれば白と黒で統一されている。

『……えっと』

「そ、それは」

これでは芥川が指名手配犯だということも、後々知られる。軍警から欺くことは容易い。だが、此処には敦がいるのだ。

芥川としてはどうでも良いことだろうが、停戦中であるのだから迷惑はかけられない。裏でも70億の首だというのに……。

「僕が外套を着ていることも、黒服を着込んでいるのも餓鬼には関係ない」

黙っていた芥川が口を開く。敦とAは同時に芥川へと視線を移す。無愛想かつ眉目秀麗な顔立ちからは、感情は読み取れない。

「無論、貴様等餓鬼に教える必要もない。説明などせぬ、分かったら退け」

「オイ、芥川！！その言い方はないだろ!?」

「黙れ、人虎……!!このような餓鬼に構ってやる時間も今は惜しいということが分からぬか、愚者め！！」

「大体、お前の言い方は冷たいんだ!!この子達に此処が何処なのか聞けることも考えないのか!!」

『喧嘩しないの、煩い。子供の前なのに』

二人の争いに呆れながら膝を折ってしゃがみ、眼鏡の少年と目線を合わせる。少年は少し後退りしつつも、視線はそのままだ。

『あの、此処って何処かな……?』

「お姉さん達、迷子なんですか?」

『え?んー、ま、まぁ。そんなところかな』

「此処は米花町だよ!!」

「餓鬼等、此処からヨコハマは近いか」

「……横浜?近くはないけど……」

「車で行って一時間半かしら」

その言葉に固まった。