【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ27)

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第弐拾伍幕ページ27

【心射たれるほどに】

とても良く晴れた朝だ。ガスも水道も朝から通った。暮らす為の家具は備え付けもあり、万全だ。敦は大きく伸びをして青空を見た。

猟犬の二人には、余っていた二つの部屋を自室にしてもらうことになり、家具や衣服等は急いで買いにいった。それは大変だった。

これも、Aの異能力ありきだろう。少し寝不足気味の顔を洗い、歯を磨き、新調された衣服に袖を通す。軽く鏡の前で一回転。

階段を軽快に降り、ダイニングキッチンの扉の前に立つ。違和感。香ばしい匂いが鼻孔を擽り、ガヤガヤと声が扉越しに聞こえる。

「も、もう皆さん起きたんですか!?」

「遅いぞ、人虎」

現在の時刻は五時半。白米に卵に焼き魚、若芽の味噌汁が敦の目の前に五人分、広がっている。誰がこんなに早く作ったのだろう。

『マフィアは昼夜関係ないからね』

「猟犬も任務があれば、直ぐに行く」

「とりあえず、朝食を取って下さい。朝一にAさんの瞬間移動で買ってきたんですから」

「こんな朝早くにお店なんて開いてるんですか?」

『ううん、開いてないから海外に』

「間合いまでしか使えないんじゃ……?」

『頑張った』

敦は席につくと、いただきますと断って卵を口に運ぶ。フワフワとした甘い卵焼きが広がり、思わず飛び上がりそうになるほどだ。

「美味しい!!」

「口にあって何よりです」

「条野さんが作ったんですか!?」

「えぇ、まぁ」

何れもこれも美味しくて、気付けば完食。二十分程度で食べ終わった皿を、Aと芥川が流しに片付け、洗剤で洗っていく。

末広はリビングの方へと歩いていったので、敦も慌てて着いていく。テレビ(いつの間に買ったのだろうか)を、釦を押してつけた。

パチッと青白い画面が仄かに光り、アナウンサーを映し出す。沖野ヨーコというアイドルの紹介番組のようだ。大人気らしい。

末広はつまらなそうな顔をして、画面を切り替えた。すると一気に平穏な話から、米花町で起きた火災事件の詳細へと変わった。

先程のアナウンサーの声を引き継ぐように、女性の声が火災事件について語り始める。映像は何処かの美術館で発生したようだ。

「この街は事件数が多いようだな」

「え!?芥川!?」

いつの間にか降りてきていたのか、三人が後ろからテレビを見ていた。