【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ26)

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第弐拾肆幕ページ26

【森の愛しの愛娘】

「……中也くん、一寸待って」

「何でしょうか、首領」

「……私、理解したくないんだけど」

「リンタロウ!!現実を見なさいよ!!」

「だって、エリスちゃん!!」

首領の執務室でポートマフィア首領である、森鴎外が涙目になりながら、エリスと呼んだ幼女に泣きつく様を中也は呆れた瞳で見た。

エリスという幼女は森が生み出した異能生命体で、生み出した首領は幼女趣味であり、愛娘に対して重度の過保護であるのだが。

「鴎外殿。現実逃避も程々にするんじゃ」

凛とした声で森を叱るのは中也と同じく、ポートマフィア幹部である尾崎紅葉。妖艶な面を、今回ばかりは困ったようにしかめた。

「尾崎君……」

「姐さんの云う通りですよ、首領。このままでは、ポートマフィアの危機です」

「だって、私のAと芥川君が異世界に飛ばされた挙げ句、戻れないなんて信じたくない！！」

「誰も、其処まで云ってないですよ」

「それにAは鴎外殿のではないぞ」

「リンタロウ、煩い」

おいおいと泣き出す首領を軽い力でペリッと引き剥がしたエリスは、溜め息をついた。中也は疲れ気味の様子で、深く頭を項垂れる。

「他の人には伝えたのかい?」

「先程(さっき)、樋口達の方にも行ってきたんですけど、めちゃくちゃ取り乱してましたよ」

「だと思うわ!!」

「じゃな」

樋口の取り乱し様といったら、袖口から拳銃を取り出して乱射するほど。立原が必死に抑えていたが、それも時間の問題だろう。

銀だって兄と可愛がってくれていたAが消えたなんて話せば、無言で立ち尽くした後に全速力で廊下を走って行ってしまった。

もう、何か狂乱者が出そうで怖い。二人に顔向けできない程に、ポートマフィア崩壊しそうで辛い。胃に穴が空きそうな気分だ。

「こんなに荒れたのは四年ぶりですね」

「太宰が抜けた時か……」

「芥川君、本当に可哀想だったよ」

「あれほど慕っていた幹部が失踪したんじゃ。取り乱したのは芥川だけではない」

「Aまで連れ去られそうになったっけ」

Aの部屋の窓から侵入してきて、駆け落ちを狙ってるとか何とかほざいた太宰の野郎。中也が食い止めたが、捕獲は失敗。

あの時と同様に、今回はポートマフィアの壊滅寸前になっているのは身に染みるほどに理解できた。