第壱幕 ページ3
【そして見知らぬ土地へと】
瞳をゆっくりと開いた瞬間に、静かだった路地裏から喧騒が聞こえた。否、どちらかと言えば、街中の生活音に近いと思える。
そしてそれは当たりだ。路地裏にいた筈だというのに、何処かの公園。夕方だったはずなのに、今は太陽が照らす真っ昼間。
そして直ぐに悟った。自身の異能で、特異点が生まれたということを。辺りを見渡して、Aは安堵と心配の感情を得る。
「何故、貴様が此処にいる。人虎」
「まずは説明しろ、芥川!!」
互いに睨み合う二人の姿。見たことのない土地で一人が心細いのは当たり前だ。マフィアだろうと、何だろうと乙女であるのだから。
『ごめんなさい、また失敗しちゃって……。私ったら最近何時もこう……』
誠心誠意、真心を籠めて頭を下げれば喧嘩を止める二人。そして頭を上げようとすれば、芥川が頭を撫でてきた。悪人の目付きで。
「仕方ない。長い付き合いだから、理解はしている。Aの異能の扱いは困難だ」
『……うん』
大人しく撫でる手付きに身を任せる。何時からこうなったかは覚えていないが、芥川は何かあったときは頭を撫でてくれるのだ。
驚いている敦にそっと微笑みかけて、頭から温もりが離れるまで待った。そして携帯を取り出す。現在位置を確認しなければ。
「……にしても此処は何処なんだろう?」
『ヨコハマにこんな公園、なかったと思うんだけどな……』
「A、早くしろ」
『分かってる……、えっと……?』
三人して、Aの携帯を除き込んだ。其処に記されている文字は知らない文字だ。
「「『米花町…?』」」
「聞いたことがない地名だな」
「ヨコハマじゃないみたいだね」
『首都が東都……?東京じゃ、ないの……?』
これが始まり、怪奇譚。
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年10月18日 22時