【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ1)

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序幕ページ1

【それはある、案件でのこと】

森鴎外の愛義娘である、夜凪Aは芥川龍之介と共にちょっとした任務に取り組んでいたのだ。瞬間移動の異能力者を殺す仕事。

「羅生門ッ！！」

『駄目よ、それじゃ此方に…!!』

瞬間移動(テレポート)能力でちょこまかと逃げる相手に苛々しているのか、芥川の操る黒布が大雑把になってきたのだ。

破壊された瓦礫が此方に飛んでくる。Aは慌てて、体を反らすがバランスを崩してしまった。後ろに倒れていく感覚が襲う。

反射的に目を瞑るが、地面に落ちる感触も痛みもない。瞳を開ければ、ドーナツをくわえたままの武装探偵社員である、人虎こと…。

『あ、敦くん!?』

「大丈夫ですか、Aさん!?」

中島敦が、Aの体を支えていた。どうやら帰り道だったのだろう。くわえていたドーナツを口に詰め込み、飲み込む敦。

芥川の瓦礫を崩す音なんかを聞いて、わざわざ路地裏にやって来てくれるとは。考えもしなかった展開に、驚きつつも身を起こした。

「何の騒ぎですか……!?芥川が異能力者を襲っているみたいですけど……」

『彼を消す任務だったんだけど、仕留めることがなかなか難しくて……』

「……殺す、んですか」

なんて言っている間にも、路地裏の狭い範囲から黒布が投げる瓦礫を避ける。目の前の標的に集中している芥川は、敦に気付かない。

心の優しい少年は、殺すというA達の任務を止めるかどうか迷っていた。停戦中とはいえ人殺し。だが、ここにはAがいる。

“茶漬け同盟”を組んでいる敦は、Aを止めることに抵抗がある。そして言いくるめられる側である敦にとっては難しいことだ。

だが、やはり止めるべきだろう。両手を虎化させて芥川に立ち向かおうとしたときだ。Aが標的に異能を発動させた。

「Aさッ……！！」

『【異能力藤の箱庭】』

相手の異能を強制的に別の異能に変化させる異能。そして空間と空間の間を一瞬だけ繋げ、移動する異能。二つが交わり繋がる。

『……あれ?』

「む」

「……う、うわあああああああ！！」

焦った敦の声と同時に、三人が青白い光に包み込まれた。目映い光に目を閉じる。そこには殺されそうになった異能力者のみ。

取り残され、三人の姿は忽然と消えた。