第弐拾幕 ページ22
【盲目の男、猟犬】
“猟犬”とは。国内にある軍警最強の特殊部隊である。隊長は福地桜痴。国内の全部隊から最高の人材を集めて結成された五人組だ。
正式名称は“特殊制圧作戦群・甲分隊”。他の軍警職員の中では、伝説の一つとなっているらしい。つまり最高の地位と云っても良い。
日本国内における異能犯罪、特に凶悪な異能犯罪者を捕らえる事に特出した部隊。ポートマフィアの天敵だとも認識されている。
その仕事は主に、法では裁けない異能力犯罪を犯した異能犯罪者を暗殺、または捕らえること。書類仕事も勿論、潜入任務もある。
猟犬一人一人が、異能力を所持しており、各々が並外れた体力・能力を持っている。目の前の末広も、肉体と精神に鋼を宿す武人。
人倫にもとりし、凶悪犯を捕まえる。任務に失敗すれば、“懲役”が科せられるが、結成以降、一度も任務を失敗したことがないとか。
全身に異能技師による生体手術が施され、常人の数十倍以上の身体能力を持っている。まさに完璧な制圧に特化した部隊なのだ。
『敦くん』
「何でしょうか、Aさん」
『家と空間繋いで逃げて良い?』
「A、僕を置いていく気か。この世の果てだろうと何だろうと、一生呪ってやるぞ」
『私、上司なんだけど!?』
「なら置いてくな」
「行かせませんよ」
肩に手を置かれた。嗚呼、逃げたい。全力で仏蘭西(フランス)にでも独逸(ドイツ)にでも、全身全霊で逃げたい。……逃げたいな。
後ろを振り返りたくない。否、絶対に振り返らない。芥川も殺気を漏らしつつ、冷や汗を垂らす。猟犬二人は流石に辛すぎる。
「大丈夫です。死にはしませんよ」
敦の喉元がひきつり、みっともない声が出る。Aは脳内に銀の微笑みを思い浮かべた。嗚呼、世界一愛しいあの子に会いたい。
首を錆びた音を立てるように、ギッギ……と後ろを向かせる。閉じている瞳が、何故か此方を睨んでいるように見えてすくんだ。
『条野採菊さん……』
「鐵腸さん、彼女は重罪犯罪者であり保護対象です。せめて手錠を掛けましょう」
「忘れていたな」
「……本当に死んでほしい。貴方が私のことを置いていったことは許してませんよ」
……嗚呼、何てこと。
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年10月18日 22時