【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ14)

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第拾弐幕ページ14

【千三つ屋】

「聞きたいことがある。隠さずに伝えよ」

ふと、会計をしている最中。芥川は茶髪の女性店員(榎本さんというらしい)に向かって、重々しく質問をした。敦は芥川を睨む。

「そんな目付きだと恐がらせるだろ！！」

「黙れ、人虎。貴様の食事代を誰が払ってやっていると思っている」

「Aさんだろ」

「たわけ。僕だ」

「え!?でも、Aさんが……」

『私は払ってるだけで、お金は龍くんの』

「……ご、御馳走様です」

「そのまま一生狗のように這いつくばり、僕に尽くせば今回の金は無償にしてやる」

「はぁ!?するわけないだろ!!」

そして店内をチラリと見て、顔を伏せる敦。他人にはいい迷惑だ。芥川は騒がしいとあしらって、店員に向き直り再び口を開く。

「この近くの千三つ屋に行きたい。此処には何ヵ所、何処にあるか正確に答えよ」

「せ、千三つ屋……?」

「一世代前の不動産屋の言い方ですね」

横から口を挟んできた安室は、胸ポケットから地図を取り出すと、赤丸をつけて差し出した。某機械人形(ロボット)かよ。

それが噂の異次元袂(ポケット)ってやつなのか。何でも出てくるのか、逸そ電話箱(ボックス)でも出てきそうな感じがする。

「……ふむ。承知した」

『有難う御座います』

「……?」

鈴を鳴らして、喫茶店を出る。まずは住居を探さなければならない。なるべく安く、なるべく綺麗で、なるべく広いが理想だ。

地図を見ながらどんどん進んでいく芥川の後ろをついていく。肩を叩かれ、振り向けば敦が理解できないと云うように首を振った。

「あの、何で不動産なんかを」

『敦くんは野宿するの?』

「まぁ、慣れていますけど」

『だとしても、何時帰れるか分からな＿＿＿』

ふと違和感。袖の裾を見れば、盗聴機。誰につけられたのかは分からないが、あまり聞かれてはいけない話だ。それを軽く潰した。

『……戻れるのが何時か、分からない』

「……今の」

『盗聴されてたね』

敦くんも慌てて確認するが、その類いは見当たらない。誰かにつけていれば全て分かるとでも思ったか。そんな愚図ではない。

呆れて溜め息をつけば、芥川が此方を睨んで待っていたので、急いで駆け出した。