長くて幸せな、夢【HiGH＆LOW】 (ページ32)

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情報屋とコブラページ32

｢ん｣

と、そう言いながら差し出された缶コーヒーを受け取り、Aはコブラを見上げた。

プルタブを開け、Aの隣に腰掛けるとコブラはじっとAを見詰めた

｢……何ですか？｣

｢いや……飲まねぇのかと思って｣

｢……ああ、いただきます｣

そう言ってAもプルタブを開けると、コブラは満足そうに、少し表情を緩めて、缶に口を付けた

｢手、大丈夫か｣

｢え？……あ、｣

じんわりとした痛みを訴える拳を見てみれば、案の定赤くなっていて、

｢赤くなってんな……痛てぇか？｣

｢……いや、小さい頃は、にぃ……兄と一緒によく喧嘩してたし、｣

その頃はよく怪我もしたし、その度に兄に叱られて、手当をしてもらって

｢……兄貴がいんのか？｣

驚いた様にコブラがそう言う

｢はい、二つ上の……ま、血の繋がりはないんですけどね｣

缶コーヒーに口をつければ、程よい苦味が口の中に広がった

｢今は……？｣

｢……さあ、どこにいるのか、何をしてるのか、元気にしてるのか……｣

｢そうか…………｣

気まずそうに呟いたコブラをチラリと横目で見てから、Aは小さく息を吐き出した

｢……さっきは、取り乱してすいませんでした｣

｢あ？……あぁ、気にしてねぇよ。

ただ、……嵌められたってのは、どういう────｣

ぶぶぶっ、と、携帯が震えて、コブラが言葉を止める。

｢……悪ぃ｣

そう一言断って、コブラは立ち上がり、スマホを耳に当てた

Aはコーヒーを飲み干し、その空き缶をゴミ箱に投げ入れると、────空を見上げた

こんな日に似つかわしくない、どこまでも澄み渡った空だった

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