情報屋と失敗 ページ31
絶句する山王の面々に、Aは曖昧な笑みを向けた
「……なーんてね。ははは、」
ああしくじった。
Aは心の中でそう呟くと、未だに眠り続けるノボルに視線を向けた
きっかけは、本当に些細なことだったのかもしれない。
それが、こんなにも人を狂わせる。
どうして、こんなに。こんなにも簡単に────
「カエル……」
「え?」
「カエルの、マスクや」
ダンの呟きに、全員が注目する。
「せや!カエルのマスクした、ライダースコートの奴が、」
「カエルの、マスクに、ライダースコート……」
「なんか心当たりでもあんのか」
コブラの声を聞きながらも、Aは返事をせず窓の外へ視線を向けた
『今日の取引はナシだ』
『?なぜ急に、』
『急用が入ってな』
視線の先、病院の駐車場にはまったく同じバイクが二台止まっていて、その片方に腰をかけこちらを見詰めるのは────
「…………嵌められた、」
ぼそっと、Aが呟く
「は?今なんて────」
「っクソッ!!」
ガンッ!!と壁を殴り、そのまま髪を掻き乱す。
「ちょ、おい、落ち着け星堂、何が……」
「失敗した。クソ、結局私は────」
ふと、握りしめた拳が暖かいものに包まれた
「……ちょっと来い」
ハッとして顔を上げれば、コブラがAの手を掴んで引っ張った
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郁(プロフ) - 更新待ってます (2017年8月12日 22時) (レス) id: 920d179fc4 (このIDを非表示/違反報告)
希美 - 続き見たいよー (2017年8月6日 15時) (レス) id: 229e64c922 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 続き見たいです (2017年7月26日 1時) (レス) id: 0957f842ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翼 x他1人 | 作成日時:2017年5月29日 12時