長くて幸せな、夢【HiGH＆LOW】 (ページ11)

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情報屋と疲れページ11

投げ付けられたプラスチックケースが、硬い音を立てた

｢………………、｣

口元に笑を貼り付けたまま、Aは足元に落ちたそれを見下ろした

｢拾え｣

低い声でそう指示を飛ばしたのは、表情を浮かべないRockyだった

Aはその顔から表情を消し、恐ろしく冷たい視線をRockyに向けた

｢説明しろ。何故そのデータに"お前の名前"がある｣

目を伏せ、息を吐いて。

Aは床に膝を付き、SDカードの入ったケースをつまみ上げた

｢良かった｣

｢あ？｣

ふっと笑みを浮かべた

｢これが見つかったってことは、もうあの店に危害は加わらないという事ですよね｣

ぎゅっとケースを握り締め、Aはふにゃりと表情を崩した

｢何を言って────｣
｢あー良かった！これでゆっくり眠れます！｣

ははははっ！と笑い声をあげながら、Aはふらふらとシミ一つ無い白いソファーに沈み込んだ

釣り上がった口元が、ほんのり桃色に染まった頬が、めいいっぱい細められた目元が。

有り得ない。

Rockyは口の中でそう呟いて顔を顰めた。

｢有り得ない？｣

堪えきれない、といった風に顔を歪めたAに、Rockyはハッと顔を上げる

｢とか思っちゃったり？｣

ははは、と笑い声を上げながら、尚もAは上機嫌に掌の中のケースを眺めた

｢Aさん、貴女、｣

｢やめろ｣

Rockyの制する声に、KOOが動きを止める。

同時に、ぽす、と柔らかい音がする。

RockyはゆっくりとAに近付き、長い前髪を、優しくつまみ上げた

微かに寝息を立てるAに、KOOは驚いたような表情でRockyとAを見る

｢徹夜か、……相変わらず無茶しやがる｣

薄暗い店内ではわからなかったが、良く見れば、いつもより濃いめに施されたメークの下にうっすらとクマが浮き上がっていた

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