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結局、あれからもホソクとしっかり話す機会は得られず、誕生日は明日に迫っていた。
ただ、焦りと不安だけが募っていく。
チャンスは明日なのに。
そんな今日に限って、ホソクのメイク担当は私じゃなくて。
「おはようございます、シュガさん」
「おー」
今にも潰れてしまいそうにしぱしぱと瞬きしている目は、どうやら眠気と戦っているらしい。
うつらうつらと船を漕いでいるうちに、メイクを施していく。
しばらくして、石のように動かなくなったシュガさんは眠ってしまったのだろうか。
話す相手もいない中、私の耳に入ってくるのは、
席をひとつ挟んだ向こうの、久しく聞いていなかったメイクの最中のホソクの話し声。
自然と視線もそちらに引き寄せられて、
⋯あぁ、だめだ。集中しないと。
「⋯気になる？」
「え？」
「気になる？ホソガのこと」
「えっ、いや。そういう訳じゃ...」
「見すぎ」
その言葉に、体温が一気に上昇した。
いつの間にか目覚めていた涼し気な顔のシュガさんは、鏡に映る真っ赤な顔をした私を見て
分かりやす、と呟きながらふっと笑った。
⋯恥ずかしい。
「すみません、メイクすぐ終わらせますね」
「敬語」
「え？」
「俺ら同じ年齢なのに、年下にも敬語じゃん」
「それは、シュガさんは仕事仲間ですから⋯」
「ふぅん」
興味無さそうな相槌。
彼の目線は鏡の中をふわふわと漂っていて、何を考えているのか分からない。
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作者名：UJu 。 | 作成日時：2022年2月18日 22時
