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失礼な言葉を一旦聞き流したことにして、それ以上に聞き捨てならない言葉を考え直す。
「気付くも何も⋯ホソクは弟みたいなもので⋯｣
「ホソガだってちゃんと男なんですよ｣
「分かってるけど⋯｣
メイク直しのときの身長差や、抱きつかれたときの体格差は実感しているし、
私よりも大きな手や力強さはただの弟の枠で収めるにはあまりにも主張が強くて。
「ヌナはホソガに甘えられなくなって寂しいんですよね？｣
「別に、寂しいわけじゃ｣
「ですよね？｣
「はい｣
有無を言わせぬ威圧感に押されて素直に頷く。
「ホソガが他のメイクヌナにヌナと同じようなことをしてたら嫌ですよね？」
「はい」
「それが好きってことです｣
そう言い切ったナムジュンは、どこか満足気ですっきりした顔をしている。
「す、すき⋯｣
私は、ホソクが、好き。
言われてみれば、すとんと心に落ちてくる、好きという言葉。
この仕事に就いてから恋愛なんて無縁で気付けなかった。
そう言われれば、あの突然の胸の締めつけも、動悸も、高鳴りも納得せざるを得ない。
「じゃあ、思い切って伝えてみましょうよ｣
そう言って、裏声でサランヘヨー、チョアヘヨーと愛を飛ばしているナムジュン。
「⋯ナムジュン、なんかきもちわるい｣
「なんてこと言うんですか｣
こっちは真剣にアドバイスしようと、なんて語り始めたナムジュンに、さっきのはふざけてたでしょ、と言える雰囲気でもなく。
とにかく、と軽く咳払いをして
「アイドルのJ-HOPEとしてじゃなくて、一人の人間のチョンホソクとして見てあげてください
ホソガも、それを望んでます｣
なんて優しい笑顔で言うもんだから
「ナムジュン、かっこいい⋯｣
「やめてください、ホソガに怒られます｣
照れたように顔を綻ばせるナムジュンに、お礼を言うとなんてことないですよ、と席を立った。
やっぱりナムジュンはかっこいい。
好きと自覚した今、今までとは変わって私が頑張らなければならない。
頑張って、ホソクに⋯
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作者名：UJu 。 | 作成日時：2022年2月18日 22時
