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「ナムジュン⋯｣
「わ、ヌナ。どうしたんですか？｣
「ちょっと相談があって⋯｣
仕事終わり、楽屋前で待ち伏せてナムジュンを呼び止める。
彼は不審者さながらの私を嫌がることなく、隣の部屋が空いていることを確認すると、そこで机を挟んで向かい合って座った。
「どうしたんですか？」
「私、なんかホソクに嫌われちゃったぽいんだけど⋯｣
仲のいいナムジュンに気遣いなんて無用で、早々に本題を切り込む。
今日のメイク直しのことや、それ以外でもホソクの変化した態度に彼も心当たりがあったのか、あぁ･･･と小さく頷いた。
「何か知ってる？」
「僕は何も知りませんよ」
「だよね⋯」
「ただ、ホソガはヌナのことを嫌ってはいません」
落ち込んで下がった顔を上げると、ナムジュンは私の目をじっと見つめて、真剣に言った。
そんなわけないと思うのに、彼のその目を見ていたらすんなり納得してしまいそうになってぐっと堪える。
「でも、前みたいに甘えてくれなくなったし⋯」
「それは、嫌ったんじゃないです。ちょっと疲れたんですよ、ホソガも」
「疲れた⋯？」
「ヌナがホソガの好きを本気で受け取らないから｣
え⋯？
言われた言葉をもう一度自分の頭で繰り返す。
好きを、本気で受け取らない、から⋯？
確かに、ホソクは私に好きだとよく言葉にして伝えてくれていた。
でもそれは、頼れるヌナってところで仕事仲間としてってことで⋯
ホソクが私を好き？どんな意味で？
まさか⋯⋯いや、ないないない。
「だって、あの世界のJ-HOPEだよ？私なんてどう考えても眼中に無いよ｣
「それはホソガにしか分かりませんよ｣
「そうだとしても、嫌われたきっかけがネックレスをあげなかったからだよ？
なんでもくれる親しいお姉さんのポジションでしょ⋯｣
「でも、好きなんですよね？ホソガのこと｣
聞こえた言葉が再び頭の中で反響する。
ん？⋯好き？
誰が？誰を？
⋯⋯私が？ホソクを？
「すっ、好き？！私が？ホソクを？！｣
「えっ、まさか気付いてなかったんですか？｣
はぁ、と部屋に響くぐらい大袈裟にため息をついたナムジュン。
こんなにバカだったとは⋯と聞き捨てならない声が呟かれた。
ノーマル状態でも私はバカだと思われていたわけね、なるほど。
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作者名：UJu 。 | 作成日時：2022年2月18日 22時
