幸せで夢のようで（めめこじ）

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室「あはは、なんでやねん！

なんで俺が寂しい思いせなあかんねん」

と、笑いながら言ってくるもんだから
思っていた返しと違いすぎて、拍子抜けしてしまう。




目「つきあってるんじゃ、」








しまった、やばい。
自分から聞いたくせに、答えを聞きたくない。

どうにかごまかして話を変えよう、
と思っていたら、



室「付き合ってる？俺と康二が？

ないない！俺彼女おるし

康二は俺の事、
親戚の兄ちゃんとでも思ってるやろ。

この前は、
近所におるワンちゃんに似てるって言われたな。

あいつの方が犬やろ」



そんな室さんの話を聞いて、
近くにいたスタッフさんも笑っている。



するとスタッフさんが、

「康二さんは、酔うとああなるんですよ。

でも久しぶりにあそこまで酔ってる

康二さん見ました。楽しかったんですね。」



「そういや室さん、

康二さんからタイまでの飛行機乗るの付き合って、

って言われたって本当ですか」



室「ほんまほんま、

まあまあ真剣な顔して言うてん。

アホかって。ぶっとんでるやんな。」



「それだけ康二さんは室さんのこと大好きなんだな

って話してたんですよ」


室「いやちゃうやろ、

荷物持ち要員やん、絶対そうやん」






タイに行ったんだ。



室さんと付き合ってないんだ。



明日も明後日も会えないと言う事実さえも

忘れてしまうほど、嬉しく感じて、

また、会いたいと思う。



もっと聞きたいことがあったのだが、
スタッフさんの撮影開始を知らせる声が聞こえた。









それから仕事が立て込み、落ち着いた頃に
室さんに康二君の連絡先を聞いた。


室さんは快く教えてくれたが、

室「康二なー、なんか連絡返って来うへんねん。

電話もな、連絡つかへんくて。

目黒なら返ってくるかも、いっぺんしてみ」


康二君は、他にSNSをしておらず
これ以外に連絡を取る方法がないらしい。

まあなんかあったらどうにかして連絡してくるやろ、とか室さんが言っていた。



ありがとうございます、とお礼を伝え

早速、室さんからもらった連絡先に
少しドキドキしながら



“康二君、目黒です。”と送った。



続きはどうしよう。


言いたいことはたくさんあるのに。


そういえば、タイって言っていたことを思い出して



“そっちは暑いですか”



そんな当たり障りない言葉を打って

送信ボタンを押すと、スマホを閉じた。









明日も明後日も康二君には会えない。

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