【QK】硝子の靴【izw】

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｢は？結局ディズニー行ってきたの？やっばいな｣

｢ええ、私もそう思います｣


須貝さんに昨日のお土産を手渡しながら、筋肉痛が次の日に来ます、私も歳ですね、なんて世間話を少々。


｢で、何かあった？｣

｢え？｣

｢アレ、どう考えてもおかしいでしょ｣


須貝さんが指さした先には、何やらぼーっとしてる伊沢くんの姿が。

確かにおかしい。オフィスの皆でお昼に行こうという誘いにも乗らず、パソコンの前で辛うじて座ってはいる、という状態をかれこれ数時間は続けている。


｢何もなかったわけではないですけど、特筆すべきことは無かったような…？｣

｢ふーん｣


須貝さんは、伊沢くんを見、私を見、また伊沢くん見、ため息をついた。どうしようもない、といった呆れの吐息だった。


｢…あんまアイツをイジメないでやってよ｣

｢え？｣

｢じゃ、俺はみんなに合流するから！あとは二人でごゆっくり｣


と、ひらりと手を振ってから出ていってしまった。

…つまり、伊沢くんをどうにかしておけということだろう。たしかに、二人しかいないこの現状、彼をどうこう出来るのは私だけなのだが、荷が重い。


｢あのー…お菓子いる？って言ってもお土産の残りなんだけどさ。ああでも、伊沢くんも一緒だったからお土産ではないのかもだけど、｣

｢いただきます｣

｢あ、ハイ｣


少しでも雰囲気を軽くしようとするも、健闘虚しく。
目も合わせず生返事をする伊沢くんに対し、左手でお菓子に取り、渡そうとした。







しかし、彼が取ったのは私の手だった。





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