片思いなんだって ページ10
奏side
いつも通り部活を終わらせて、待ち合わせ場所になってる昇降口へ急ぐ。
「あ、奏来た。」
「あれ？もしかして僕ラスト？」
そうだね、と言う優にごめん！と手を合わせて謝る。
「なんかあったの？」
そう言う徹に、
「コンクールの絵が佳境なんだよ」
「夏にだすって言ってたやつか？」
横から割り込んできた一ちゃんに答える。
「うん、だすのは夏なんだけど、提出来月だからね」
「言うほど佳境じゃないじゃん」
「そうともいう」
そう言った松川に答えた僕に、せめて否定しよ…と言う優。
「そうだ、奏達火曜の放課後暇？」
突然聞いてきた郁里に、「僕はまぁ…多分暇…かな…うん」
曖昧な返事をしつつ、「なんかあんの？」と聞く。
「バレー部の練習試合、記事にするから」
「なるほどね、私OK」
「遥はOKね、優花は？」
「うん、私も大丈夫だよ」
「ってことはお前ら全員くんのか…まけらんねぇな」
そう言う一ちゃん。
そうだよね、遥来るもんね。
勘違いするな、勘違いするな、勘違いするな。
脳内の警報が鳴ってる。
これ以上、無駄に期待するな。
「どことやるの？」
「烏野だとよ」
「烏野…飛雄ちゃんのいるとこだっけ？」
「ちょっと奏！思い出さないようにしてたのに！」
「知るか」
奏が冷たい〜！！と泣きわめく徹をスルーし、
「じゃあ飛雄ちゃんに会えるかな？」
一ちゃんに聞く。
「タイミングあえば会えるんじゃね？」
「やった。」
飛雄ちゃん…育ってるかなぁ…。
金田一や国見の話だとなんか王様化？したらしいけど。
「アンタ影山と仲良かったけ？」
「んー、まぁそこそこじゃない？よく徹に質問に来てたし」
あの時の徹は随分大人げなかったけどね。そう付け加え遥の反応を伺う。
「ああ、そうだったわね」
「二人とも酷くない？」
「あんときのお前は最低だったもんな」
「岩ちゃん！？」
はははっ！とみんなで爆笑しながら帰路につく。
「そんじゃ、俺らこっちだから」
松川と花巻、郁里と優が反対の道を辿ってく。
それを見送り、
「徹〜今日の晩御飯何かな〜」
「確か鍋だって言ってたと思うけど。岩ちゃんと遥も来るんだよね？」
「おう」
「お邪魔しまーす」
「鍋！牛肉いっぱい入れよ〜」
「太るぞ」
「喧しいわ」
一ちゃんには関係ないもんね〜。そう言って舌をだす。
うるせぇ、とゲンコツをくらいながら視線を感じそちらを向いた。
……なんで、そんな目で見るの。
＿＿＿徹。
続く
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作者名：藤 | 作成日時：2021年12月3日 17時
