片思いなんだって ページ2
奏side
「セーフッ！」
叫びながらチャイムの鳴る教室へ思っいきりスライディングしながら入る。
「アウトだよバカ」
担任のさっちゃん先生が僕の頭を出席簿で叩いた。
「イダッ！さっちゃん先生酷いぜ〜まだ遅刻じゃねーだろ？」
「あのなぁ、チャイムが鳴ったらもうアウトなんだよ学べ」
「教師が生徒にかける言葉じゃない…」
ボケが、と言うさっちゃん先生を無視してハヨーと挨拶しながら自分の席に着く。
「はよ、奏も懲りないね〜」
「さっちゃんガン無視されてんじゃん」
「おはよ、奏今回のさー」
「あ、それね！マジでs「奏ボゲッ！」イダイッ！ちょっと！僕のご尊顔に傷がついたらどーすんのさ！！！
＿＿＿一ちゃん！」
自分のドキドキ鳴ってる心臓を無視して隣の席の一ちゃんに話しかける。
一ちゃんはちょっとだけ呆れたような顔をして、
「お前なぁ、毎回毎回遅刻寸前に来るんじゃねーべボゲ。」
「なになに？心配してくれてんの〜？一ちゃんは心配性だねぇ」
「そーだよお前がいつか職場とかで遅刻して怒られる未来が見えるからな」
「えぇ〜それなら僕フリーの職業に就こっかなぁ〜」
……あーあ、一ちゃんの言う心配、は幼なじみとしてのって分かってるはずなのになぁ……
片思い歴なんと八年。
小５で自覚してから八年も続いてるんだよ？
まぁ眠ぃのは分かるけどよ。そう言って欠伸をする君。
どうしたって愛おしいと、好きだと感じる。
＿＿＿けど、僕の恋が叶うことはない。
だって知ってるから。君の目が、僕を見てないことくらい。
十七年一緒にいたんだ、それくらい分かる。
＿＿＿ずっと、見てきたんだから。
「なぁ、今日遥って部活あったか？」
ほらね。
君は僕を、見てくれない。
それでも好きでいたい、そう思う僕は、おかしいんだろうか。
「さぁ？僕はバレー部じゃないからね。つか一ちゃんのほうが詳しいデショ」
そう返したら、今日聞きそびれたんだよなぁ…と随分と優しい顔で言う一ちゃんが見える。
チクリ。
痛んだ心臓は見ないふりして、教科書を取り出した。
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作者名：藤 | 作成日時：2021年12月3日 17時
