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「あのっ!すみません。僕の勘違いかもしれませんが興河Aじゃありませんか!?」
ええああえ?
誰ぇ?その人。
なのに頭がずきずきと痛む。
「じゃあ聞くね。貴方フーゴ?」
聞く筈の無い事を!!
そんなのありえない!
自分を納得させながら前言撤回しようとする。
だって…。
「あの…興河Aってとは誰でしょうか?
もしかして…私ですか?」
と自分を指さす。
何だっけ…。
なんで私こんなに苦しいんだろう。
誰かも分からないのに。
時間差でピアノ弾きの少年は言った。
「そう…ですけど。」
その時私の中で何かが繋がった。
全部、全部私だ。
………私なんだ。
「Grazie!全部思い出した!私は興河A!
社長令嬢として生まれたんだけど会社が倒産して一般市民になったんだっけ。」
わざと明るめで言う。
駄目だ。今の私を出しては駄目。
私は気づいたらフーゴの肩を揺らしていた。
「何処か懐かしいと思ったらフーゴだったんだ。変わってないなぁ。」
と顔を覗き込む。
全部変わってない。何も変わってない。
けど1つだけ加わった。
悲しい雰囲気だ。
何か後悔している。
でも今は聞く時じゃない。
また今度聞こう。
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