オムライス ページ8
LN｢A！！！ほらダッシュ！！｣
｢まってえぇぇぇぇ｣
4限目の授業が終わった途端に私とリナは教室を飛び出した。
そう、今日は学食の大人気メニュー "ふわとろオムライス"の日だからだ。
毎週水曜日しかこのメニューは出ないため、毎週私たちは争奪戦へと参戦している。
今までの戦績は、5勝11敗。
ちなみに、もうここ3週間ほど食べられていないので、私もリナも今日こそは、と張り切っている。
【あと3食だよ〜！】
厨房のおばちゃんがそう叫ぶ。
LN｢諦めちゃダメよ！！｣
人の波を掻き分け掻き分け、やっとオムライスのお皿が頭角を現した___
...と思ったが、最後の一皿は別の人の手へと渡っていった。
HT｢あ、お先に失礼しゃーす｣
｢....なっ、｣
なんてこった。
私はまたこいつに負けてしまったの？
あまりの悔しさに、リナの肩にぐったりと項垂れてしまった。
LN｢うぅ、私達がんばったよ、、っ｣
2人で背中を叩き合い慰めあっていると、ふいに後頭部をデコピンされた。
｢いてっ｣
HT｢これ、俺やっぱ食わないんで｣
そう言うと片手に持ったふわとろオムライスを ん、と差し出した。
｢え！？いやいいよ、あんたが買ったんじゃん｣
HT｢いや、なんつーか豆腐のお詫び？て感じで。これでパーにしましょ｣
｢豆腐って、、でもさ｣
HT｢あーもー、ごちゃごちゃ言わないで｣
そう言って私の手を握ってお皿をてのひらの上に乗せた。
｢...あ、ありがと｣
こないだの突然の謝罪といい、私はまた拍子抜けしてしまった。
生意気なガキンチョの時もあれば、今みたいに突然優しさを見せるから調子が狂う。
HT｢あ、あと｣
去ろうとしてまたこちらを振り返ると、俺、あんたじゃなくてハルトなんで。渡辺。と言い残し、再び踵を返した。
"え、どういうこと？"
"あの人、ハルト君とどういう関係なんだろ"
うわっ、、
気づけば周囲の人達がざわめいていて、自分が思った以上に注目を浴びているのに気づき、リナ行くよ、とテラスの方にそそくさと向かった。
あーゆう目立つ人と一緒にいると、私まで注目されてしまう。
LN｢まって、いつの間にこんな仲良くなってたの？！オムライスまで貰っちゃって〜！！｣
｢いや、そんなじゃないから｣
LN｢え、連絡先は？あんなにたくさん話しておいてまさか持ってな｢持ってるわけないでしょ｣
LN｢....ちぇ〜｣
てか、間近で見たらより一層かっこよくない？！とかなんとか騒ぐリナに、やれやれと首を横に振った。
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作者名：ゆう | 作成日時：2021年9月16日 7時
