サッカー ページ6
「っえ、あの人?」
LN「そー、分かる?あの灰色のフーディ来てる子!渡辺ハルト君!!」
「あ、あぁ〜あの人か〜、、」
LN「A知ってんの??」
...知ってるも何も、灰色のそいつはどこからどう見ても例の生意気小僧なんだよなぁ。
まさかリナの推しが奴だったとは思いもしなかった。
「なんていうか、アイツはやめといた方がいいよ」
LN「え、なんで?まさか知り合いなの?」
「いや、知り合いっていうか」
昨日の出来事をリナに話すと、リナは何故かキラキラした目をこちらに向けた。
LN「ねぇなんで早く言わないのよぉ〜連絡先聞いときなさいよそこは」
「あの、私の話聞いてた?」
LN「いやだって、あんなイケメンとそんなイチャイチャできたんでしょ?逆に何がそんな嫌なわけ?」
.....はぁ。
お花畑とはまさにこんな感じの人を指すのだろう。
あと今の話を聞いてどこがイチャイチャと思ったのか率直に知りたい。
LN「わ、また決めた!キャー!」
リナは私の話したことなど微塵も気にする様子はなく、奴のプレーに一喜一憂していた。
「リナ、私戻るわ、寒いし」
これ以上外に居てもなんの意味もない。
LN「えっ、見ないの?」
ブツブツ言っているリナを尻目に、校舎へ引き返そうと踵を返した。
そしてグラウンドの端から出かかったそのときだった。
「あ、危ない!!」
数人がそう叫ぶ声が聞こえ、ぱっと振り返ると、宙を舞った白いサッカーボールは見事に私の顔面を目掛けて急降下していた。
ほら、ここに来ても絶対ろくな事ないって思ってたんだよ。
反射的にギュッと目をつぶった。
......けれど、ボールの衝撃は何も感じない。
少しずつ目を開けると、顔の目の前ですらっとした指がボールをがっしり掴んでいた。
「だいじょぶですか、、?」
そう言うと、その男の子は私の顔を控えめに覗き込んだ。
サラサラの前髪の隙間から見える目は優しくて、聞こえた声も優しかった。
「あ、はい、大丈夫です」
「よかたデス、、」
ありがとうございます、と言おうとすると、遠くから「すいません!!!大丈夫すか!?」と大きな声が飛んできた。
ボールを飛ばした1年生らしき人はこちらにわざわざ来て再度謝ると、また何事も無かったように試合は再開された。
ふと、視界に入ったアイツと目が合った気がしたけど知らんぷりをした。
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作者名:ゆう | 作成日時:2021年9月16日 7時