検索窓
今日:21 hit、昨日:15 hit、合計:54,467 hit

幸せになって ページ37

.





家からさほど遠い訳では無いのに、こうやって実際に来たのは本当に久しぶりな気がする。







夏には緑の葉っぱが生い茂っていたはずの木々も、今や葉のひとつも残らず、裸のままそこに突っ立っている。






2人分のブランコと、小さな砂場、そして、離れた場所にぽつりとある丸太のベンチ。







彼はそのベンチに、以前よりも小さくなったように見える背中をこちらに向けて座っていた。






今朝、本当に悩んだ。




会いに行けば、また同じようなことになるかもしれない。



そんな不安があった。


でも、あの再開した日のひーくんは、何か訴えかけるような目をしていて、どうしても、行かない訳にはいかなかった。


また彼に会いに、私は来てしまった。




深く息を吸ってゆっくりと吐くと、彼の元へと歩く。





「....ひーくん、」




AS「......A、来てくれると思わんかった」




ひーくんは僅かに口角を上げた。



その彼の顔を見た瞬間、昔のひーくんの笑顔が思い浮かんだ。




屈託がなくて、感情をそのまま表したような、彼の笑顔。




でも、今目の前にいるひーくんは、あの頃のひーくんではなかった。




太陽のように明るかったのに、なんだか雲がかかって、翳っていた。





「話って....何?」






思い切って切り出すと、ひーくんは目を伏せてただ言った。







AS「_____A、絶対に幸せになってな」






.

.→←変わらないもの



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
380人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆう | 作成日時:2021年9月16日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。