優しさ ページ35
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結局、最後の最後でハルトが爽快にストライクを決め試合は終わった。
｢そういえば、さっき何言おうとしてたの？｣
HT｢あー....いや、やっぱやめます。
今言ったら多分先輩困らせちゃうんで｣
｢困るって？｣
HT｢とにかく！気にしないでください｣
｢？...分かった｣
会計も終わり出口まで歩いていると、ジェヒョクくんの携帯が鳴った。
JH｢でんわ出てもいいですか？｣
｢うん！全然いいよ｣
JH｢すいません、........
そっか、ジェヒョクくんって韓国人だった。
私は日本語以外さっぱり分からないから、少なくとも二か国語を操れるジェヒョクくんは本当に凄い。
JH｢なんか、両親が帰ってこいって、、しゃきに帰ります｣
｢ほんと？駅まで一緒に行くよ｣
JH｢いやいやっ！だいじょぶです、すぐそこですし、、｣
｢でも、せっかく一緒に遊んでくれたのに｣
JH｢ホントにだいじょぶですから！Aさんはハルトさんといしょに帰って？｣
｢...そっか、気をつけてね！｣
JH｢ハイ！またガッコで会いましょ〜｣
ニコニコと手を振りながらジェヒョクくんは急いでドアから出ていった。
HT｢....じゃ、俺らも帰りますか｣
ハルトと帰る間、会話はほとんどなかった。
きっと、ひーくんのことで気を使ってくれてるんだと思う。
電車に揺られている間、ひーくんの言葉が頭の中で再生される。
"土曜日、あの公園で待ってる"
そんなこと言われても。
そもそも、今更話すことなんてあるの？
ひーくんの考えてること、やっぱり分からないよ。
HT｢......先輩？｣
｢あ、ごめん｣
HT｢もうすぐ着きますよ、駅｣
｢うん、｣
電車が徐々に減速していく。
｢じゃあまた明日ね｣
席を立つと、不意に手首を掴まれた。
HT｢あの、先輩｣
｢ん？｣
HT｢....なんかあったら、言ってください｣
｢....あ、うん、大丈夫だよ｣
HT｢俺じゃどうにもならないかもしんないけど、相談ぐらいなら乗れるんで｣
｢ありがと、結構優しいんだね、ハルトって｣
電車が完全に止まって、ドアが開く。
HT｢先輩だけですから｣
｢....え？｣
HT｢先輩限定ですよ、俺がこんなに優しいの。
あっほら、ドア閉まっちゃう、バイバイ！｣
笑顔で手を振るハルトに、同じように手を振り返す。
なぜだか、掴まれた右手がずっと熱を帯びていた。
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作者名：ゆう | 作成日時：2021年9月16日 7時
