冗談じゃない ページ34
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「......ひーくん」
突然すぎる再会に、言葉が出てこない。
どうして今更こんな所で?
せっかく忘れかけてたっていうのに....
またあの時の嫌な記憶が蘇ってきて、反射的に目を逸らす。
AS「A、あのさ...」
「....話しかけてこないでよ」
AS「...A、」
「もう全部終わったはずだよ?
今更何なの、また私を傷つけに来たの?」
感情的になって声が震える。
AS「......ほんの少しだけでいいから、話せんかな...?」
ひーくんの目は、以前付き合っていた頃と変わらず切実だった。
あの、真っ直ぐで、純粋な色をしていて、一つも嘘偽りのないような目。
その目に吸い込まれていく気がして、一瞬怯む。
HT「....あの」
「ハルト、」
HT「今俺と遊んでるんすけど」
ハルトは私の肩に手を回すと、顎を上げてひーくんの方を見た。
JH「ぼ、ボクもいます、、」
ジェヒョク君も遠慮がちにそう言って私の横にちょこんと立った。
AS「.....A、友達?」
HT「友達じゃなくて彼氏っす」
「へっ?」
ハルトはこちらを見ると、「そーでしょ?」といたずらっぽく口角を上げた。
HT「とにかく、Aも話したくないっぽいし、また今度にしてくれません?」
AS「..A、今週の土曜、あの公園で待ってる。1回だけでいいから話したい、身勝手で、ごめん、」
「........」
ひーくんは目を伏せると、そのまま踵を返した。
JH「Aさん、だいじょぶ...?」
「...うん、、2人ともなんかごめんね」
HT「あの人、元カレすか?」
「え、なんで分かったの」
HT「いや、逆にあの状況で分からんかったらやばいでしょ」
「た、確かに...とにかくありがと、彼氏だなんて冗談まで言ってくれて」
HT「.....先輩は冗談と思ったんですね」
「えっ?」
HT「...いーや何でもないでーす。てか試合まだ終わってないんすけど」
はあ、と大袈裟にため息をつきながらボールを手に取ると、ハルトは最後の1球を思いっきりレーンに投げた。
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作者名:ゆう | 作成日時:2021年9月16日 7時