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ほんとになんなの、この状況。



HT「うぉっしゃあぁぁ!!!先輩見ましたよね?!うぇええい!!」


一切の摩擦なく滑りゆく硬いボールがぶつかると、10本のピンが豪快な音を上げて後方に飛ばされていく。


そう、ここはボーリング場だ。



なんでまたボーリングをしに来たかと言うと、ちょっと理由がある。


あれから最悪な雰囲気のまま駅まで歩いてたら、ハルトがお腹空いた、などと言いだし、ファミレスに行ったあとカラオケを提案されたが私が却下して、最終的にここにたどり着いた。



JH「ちゅぎAさんの番、」


「あ、そーだ」


重い腰を上げて、ボールに指をはめる。


「ふんっぬ!」



思いっきり投げたのはいいものの、中間地点ぐらいでガーター。



HT「ぶ、やっぱりA先輩はA先輩っすね」


「あ?」


HT「いや、えーと、上手いっす」


「嘘つけ」



それから着々と試合は進んでいき、私を除いて2人は一進一退の攻防を繰り返した。



「あ、同点だ」


2人とも残り1球になったところで、あろうことか同点になった。



JH「Aさん、」



「ん?」



JH「もし、この試合__」



HT「おい」



ハルトが遮ったので、ジェヒョク君の言葉が聞こえなかった。



HT「それ以上は言わせねーから」



また2人とも怖い顔して、今度は何事?


さっぱり事の次第が分からずにいると、ハルトはボールを軽々と持ち上げた。



HT「先輩、見ててよ」



くいっと口端を上げてそう言われて、コクリと頷くしか出来ないでいると、ふと声が耳に入った。






「......A?」







突然呼ばれ、心臓がどくりと跳ねる。




今1番聞きたくない声が、後ろから確かに聞こえた。




でも呼ばれたからには、無視する訳にはいかない。







ゆっくりと振り返ると、そこには前より少し髪が伸びて、右耳にピアスを揺らして、それでもあのころと変わらない瞳で私を見つめる彼の姿があった。










「............ひーくん」








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作者名:ゆう | 作成日時:2021年9月16日 7時

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