何処までも青い空 ページ42
目が覚めると床の上で寝ていた。
「……あのまま寝落ちしたのか」
床の上で寝たせいで痛む体を伸ばしながら立ち上がる。
半分欠けた視界に昨日の事が嘘ではないと告げられた気がした。
俺は重い体を動かして外に出る。
目指すは中也が居る場所。
「死なせないから」
もう同じ仲間じゃなくても死なせない。
そう心の中で呟きながら歩き出した。
「中々見付かんないな」
そう言いながら中也の事を尋ね歩いていると崖が崩れる様な音がした。
……何となく其処に居る気がして俺は医療器具の入った鞄を持って走り出した。
「……手前も殺しに来たのか」
そう言いながら睨んでくる中也を俺は無感情に見詰める。
俺はそれに答えず中也の元に行き医療器具を出していく。
「刺されたのは背中か?」
「そうだが……俺を殺しに来たんじゃねぇのか桐崎?て言うかその目はどうしたんだ?」
そう尋ねてくる中也に俺は自分でも驚く様な冷たい声で言う。
「GSSと組んで散々頼ってた癖にお前を裏切るなんて言ったから抜けたら撃たれた…だから俺はもう羊じゃない」
「……っ?!そうかよ」
それだけ言って何も言及して来なかった中也に感謝しながら治療していく。
治療してる間にも苦しげに息を吐いた中也を少し不審に思い尋ねる。
「何かナイフに塗られていたか?」
「よく、分かったな…?殺鼠剤が塗られてた」
「ちっ…用意周到で腹が立つ」
俺はそう吐き捨てた後仕上げに傷口にガーゼを張ってから解毒剤を中也に渡す。
「飲め。少しは楽になる」
「ありがとよ」
そう言って飲んだ中也の手についた青い腕輪が目に入り考えるより先に口から言葉が出た。
「それは外さないのか?」
「そうだな。外す。お前も外さないのか?」
そう逆に返されて少し悩んだ後手首からはずして鞄に入れる。
中也はそれを見た後外して海に放り投げた。
「もう『羊』とはおさらばだな……お前はどうするんだ?俺はポートマフィアに入るが」
「俺は前と同じく闇医者でもやっとくよ。それとポートマフィアに入るなら森さんに言っといてくれ。『俺は自分の道を歩くから』って」
するとそれを聞いた中也が首を傾げる。
「お前、あの首領と知り合いなのか?」
「知り合い、と言うか俺からしたら医療の師だよ。じゃあな」
そう言って踵を返して去ろうとしたら袖を掴まれた。
「……また礼をしてぇ。連絡先でも何でも良いから教えろ」
俺は一瞬キョトンとした後笑って紙に書いた電話番号を渡した。
「じゃあな、中也」
「あぁ、じゃあな」
空を見上げると何処までも青い空が広がっていた。
【桐崎君にとっての周りの印象】
乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。
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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)
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