あーどうしたもんかなぁ…… ページ12
怪我も治り調合方法や治療方法も全て教えて貰った。
そしてそろそろ此処を出ていかなくてはならないなと思ったその日の夜に俺は誰もいない部屋で満月を眺めながら考える。
あーどうしたもんかなぁ……
この一ヶ月二人と過ごしてきた俺は此処に愛着を持ち始めていた。
無邪気なエリスの相手をするのや森さんから調合方法や治療方法を習う日々はとても充実していた。
此処が離れがたくなるほどにとても楽しいものだった。
……それにあの鬼の様な院長や貧民街に居る荒くれ者に怯えなくて済んだ…
俺はソッと深い溜め息を吐く。
「離れたく無いなぁ……」
「なら離れなければ良いじゃない?」
誰も居ないと思っていた部屋にエリスの声が響いて驚く。
パッと声のした方を振り向けばにこにこと笑うエリスが居た。
「ね?離れたく無いなら此処に一緒に居ましょ?私はアナタと話すのや遊ぶ事がとっても好きよ!ね?一緒に居ましょ?」
「……だけど…俺はもしかしたらエリスや森さんを不幸にしちまうかもしんねぇんだぞ……?」
俺はそう恐る恐る口にする。
正直に言うと此処に確かに居たいとも、そして役に立ちたいとも思う。
だけど此処に留まって仕舞えば俺は何時かきっと不幸を運んでしまう。
今は俺だけにしか降りかからない。
だけどもし周りの人に降りかかったら?
俺のせいで周りの人を不幸にしてしまったら?
俺はそれだけが怖くて仕方無くてエリスがさしのべてくれたその手を握れずに居た。
するとエリスが腰に手を当ててムッとした顔で俺を叱る。
「もう!そんな事でウジウジしないの!そんな事よりアナタは此処に居たいの?居たくないの?居たいなら此処に居ればいいでしょ!それにもし不幸が来たって私が不幸なんか吹き飛ばしちゃうんだから!」
そう頼もしい言葉と今まで感じたことのない温かみのある言葉に目から涙が零れた。
零れてくる涙を拭いながら俺はエリスに向かって言う。
「……っ!…俺は此処に居たい……!」
「それでいいのよ…ほら男の子なんだから泣いちゃダメでしょ?」
俺はその夜自分よりも小さな体をしたエリスに宥められながら泣きつかれて寝てしまった。
【桐崎君にとっての周りの印象】
乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。
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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)
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