【文スト】幸福と不幸は紙一重

悲惨すぎる光景 ページ9

あれは確か俺が貧民街に来て間もない頃の出来事だった筈だ。
あぁ、俺は元々貧民街に住んでた訳じゃないんだ。だから来た頃って表現になるんだ。
まぁ、その話についてはまた今度。
今はこの話が先だからな。
あの頃は貧民街の右も左も分からなくてさ迷い歩き、自分が安全に暮らせる所と食べ物を何時も探していた。
……あの光景を見たのはそんなある日の事だった。
俺は何時も通り貧民街の何処とも知れない場所を歩いていた時、いきなり大きな音が鳴ったんだ。
そうだな……言うなら人が飛ばされて叩きつけられた感じの音だった。
あの時の俺は無知矇眛で其処に行けば危険があるなんて考えもせず好奇心が勝ち走ってその音が鳴った場所へ向かった。
……其処に広がっていたのは悲惨すぎる光景だった。
その死体は多分女性だったと思う。
疑問形になった理由はその死体が何度も暴行され、痣だらけの体で腕や足は反対に折れていて…しかも顔は判別がつかない程に腫れ上がって居たからだ…
辛うじて髪と体つきで分かったが酷い状態だった…
…きっと散々なぶられて使い物にならなくなってストレスを発散するためだけにあんな酷い状態になるまで殴り殺して死んだ女性を壁に叩きつける様にして捨てたんだと思う……
………今思い出すだけでも気持ち悪くて吐きそうだ。
それで薬品についてだったな。
実はその死体は泡を吹いて死んで居たんだ。
そして、口内からはこの薬品と全く同じ匂いがした。
だから俺はこの小瓶の薬品を毒だと思う。


ーー
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【桐崎君にとっての周りの印象】

乱歩：唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。

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