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変わった患者 ページ29

森さんの手伝いをしながら時折芥川達と薬品を取りに行って食事をしたりとそんな楽しい日々が二年程続いたある日俺は変わった急患患者と出会った。
どうやらその変わった患者は自 殺を失敗して評判の良いこの闇医院に来たのだが…

「ちょっと、何で僕が死ぬことを止めるのさ?死にたいからしてるんだし放っといてよ」

「此処は病院だ。それなのに死のうとするとか馬鹿か」

「そんなの知らないね」

そう言ってそっぽを向く俺と同い年の少年の名は太宰治。何故かは知らないが死に惹かれて死のうとするはた迷惑な患者だ。
俺はジト目で太宰を見て呆れを含んだ溜め息を溢す。

「何で俺がこんな面倒臭いのを看なきゃいけないんだよ…」

「それなら僕が死ぬことを止めないで放っとけば良いじゃない?そしたら君も僕を看なくて済むよ」

「それが出来たらとっくにしてるわボケ。はぁ……本当に面倒臭い…」

相変わらずツンケンした言い方をしながら何処から途もなく取り出した縄をカーテンレールに巻き付けて首吊りをしようとする太宰に頭を抱える。
もうやだこいつ…俺の言葉を聞いちゃいねぇ…
俺はもう怒鳴る気も失せ、大きな溜め息をもう一度吐きながらナイフを取り出して首を吊る寸前で縄を切った。

「死のうとするなって言っただろうがこの馬鹿…」

「僕は馬鹿じゃないよ。て言うか君こそ放っといてよって言ったじゃないか」

俺が縄を切ったせいでそのまま床に落ちた太宰が俺を睨む。
いや、誰が悪いと思ってんだよこいつ……
まぁ、そんな変人と言う意味で変わった患者だと言うのもあったが本当の意味で変わった患者だと思ったのは違う理由がある。
俺はそんな馬鹿なやり取りをした次の日もまた太宰の部屋へ行った。
俺を見た太宰が眉をしかめて警戒した様子の目で睨んでくる。

「君、誰だい?」

「…桐崎A。森さんの助手みたいなもんだよ」

こいつは何故か俺の異能とこいつの異能の異能無効化が反発か何かを起こしているのか……




一日経つと俺の事を綺麗さっぱり忘れてしまうのだ。




俺はその事を少しだけ悲しく思いながら太宰に笑いかけた。

面倒臭い奴→←幕間 肆


【桐崎君にとっての周りの印象】

乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。


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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:那戯田沢 亜須 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月19日 20時

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