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手をきつく握った ページ22

母が死にこの世が恨めしく、そして地獄の様に思えたのも束の間だった。
一年この孤児院で暮らしていて実感したのだ。
母が死んだ時より孤児院で折檻され、食べる物が少ない方が余程の地獄だと。
ほんの少しの事で孤児達は折檻室に連れていかれて度を過ぎた暴力を受ける。
ほら、また。

「ひっやだ!ごめんなさい!ごめんなさい!!」

そう何度も謝りながら院長に髪を掴まれ引きずられていく白髪の自分より小さな少年が目に入った。
俺は何も出来ない自分が悔しくて爪が食い込むほど手をきつく握った。
その日の夜俺は昼間に見た胸くそ悪い光景を思い出して寝付けなくて礼拝堂でたそがれていた。
別に俺は信心深くも無いし、神も信じちゃいない。
ただ礼拝堂は何時もステンドグラスからさしこむ月の光が綺麗で唯一落ち着ける場所だったからだ。
そんな風に考えながらぼんやりとしていると何処から途もなくすすり泣く声が聞こえた。
……昼間に聞いたような声だな。
俺はそう思いその泣き声が聞こえる場所へと足を向けた。
其処には案の定あの昼間の少年が座り込んで泣いていた。
俺ははじめは柱の影に隠れて見ていたがその内居心地が悪くなって声をかけた。

「なぁ、お前。何で泣いてるんだ」

「ふぇ……?お兄ちゃん誰?」

そう尋ねてくる少年は色鮮やかな黄色と紫のグラデーションで出来た変わった目を持っていた。
俺は優しく微笑んで少年の頭を撫でる。

「俺は桐崎A。お前は?」

「ひっく…僕は…っなかじま…あつし…すんっ」

これが俺と敦の出会いだった。




ーー
幕間でわかってらっしゃっただろうけどやっと原作の主役。敦君登場!
てかみじけぇ!

酷い奴だな→←呪咀を吐き散らし吠え続けた


【桐崎君にとっての周りの印象】

乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。


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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:那戯田沢 亜須 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月19日 20時

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