Legend Story5 (ページ10)

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思ったより僚にぃが支度に手間取ってしまい、病院に到着して救急に一直線に向かうと、晃にぃはもうすでに病室に運ばれたという。

教えてもらった病室に向かうと、ちょうど先生がベッドに寝かされた晃にぃを挟んで祥にぃと良亮に何か話してる時だった。

「あ、郁人くんも。一緒に聞いてくれるかな」

そう言って先生に手招きされて、俺はベッドの横に車イスを停めた。

晃にぃはたくさんの機械に囲まれて、いくつも管が繋がっていて、すごい重い病気みたい。
酸素マスクをつけられた顔に血の気がなくて、浅く上下する胸だけが晃にぃが生きてるんだって感じさせた。

「通院もしばらく途絶えてたから心配してたんだけど、ずいぶん喘息が悪化してる。
今は落ち着いたけど、かなり危なかったよ。」

僚にぃがそんな姿の晃にぃのことをペタペタ触るから、いくつも繋がったコードに引っ掛かりそう。

先生は手だけにしてあげてね、って僚にぃに晃にぃの手を握らせて俺らの方を向き直った。

「大人の喘息はストレスで悪化することが多いんだ。
さっき良亮くんに聞いたんだけどね、酷いクレーマーさんがいたんだって？
過呼吸に誘発されて、発作が起きたんだろうね」

そうだったんだ…全く知らなかった…

「まあどうせ入院してもらうけど、もしこのままだったらしばらく店は無理矢理にでも閉めさせた方がいいと思うよ。」

じゃあ詳しいことはまた検査結果が出たら、と先生は病室を出ていった。

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目を覚ます気配のない晃にぃを四人で囲んで座る。

「…ストレス、か…」

思わずこぼれた俺の呟きに、良亮が晃にぃを見つめながら言った。

「すっげー怖かったよ。クレーマーの人。あんなんに一人で耐えてたなんて信じらんない!」

静かな病室に、何に対してか怒りを露にした声が響いた。

「…とりあえず、俺は一度家に帰って入院の準備してくるよ。」

祥にぃがそう言って立ち上がると、良亮もそれに続くようにして立ち上がる。

「あっ、僕も忘れ物したから一回家帰りたいな」

僚にぃも立ち上がったから、祥にぃが郁人も一旦帰るか？って聞いてくれたけど。

「いや、俺は晃にぃのそばにいるよ」

「そっか、じゃあ頼んだぞ」

「うん、いってらっしゃい。家全部そのままにしてきたから、片付けもよろしくね」

そう言って連れだって出ていく三人を見送った。