Legend Story5 (ページ6)

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郁人side

朝起きたら、テーブルの上に書き置きが置いてあった。

「こうにぃんとこ、いってきます」

全部ひらがなで書かれたそれは、多分良亮が書いた字。

僚にぃだったら書き置きなんて残さないだろうし、祥にぃだったら漢字書けるし。

あいつ、勝手に行っちゃったのか。
まあ、良亮けっこう心配してたもんなーなんて呑気に考えながら朝ごはんを食べていた。

そしたら突然、家の扉がガチャ、バタン!!と乱暴に開かれて。
何事かと廊下に繋がる扉を凝視していたら。

「助けて!晃にぃが!!」

ぐったりした晃にぃを抱えた良亮が、焦って真っ青な顔でリビングに飛び込んできた。

「!?え…どうした!?!?」

「わかんない!突然呼吸が変になって!!」

良亮の腕の中で、晃にぃは確かに不規則な呼吸を繰り返している。

喘息の発作!?いやでもなんか違う気が…

「とりあえず、そこ降ろして!良亮は祥にぃ起こしてきて!!あと、吸入持ってきて!」

「わかった!」

俺は慌てて箸を置き、リビングのソファーの上に寝かされた晃にぃに近づいた。

「晃にぃどうしたの!?発作!?」

問いかけてみても返事はなく。それでも晃にぃは首を振っているから、発作ではないらしい。意識もあるみたい。

晃にぃは苦しさからか、身体を横向きにして小さくなってしまった。

「はっはぁッ__ゼーッゼーッ…」

晃にぃの口から漏れる変な呼吸音に、俺の背中に冷や汗が流れた。

とにかく呼吸がしやすいように着けていたエプロンを外して、シャツのボタンも外す。
ベルトも緩めようとするけれど晃にぃが身体を折り畳んでいるせいでうまくいかず、悪戦苦闘していると、俺の肩を誰かがポンと触った。

「…!?__祥にぃ!」

「郁人、ちょっとそこ変わってくれるか?」

祥にぃの言葉に、俺は慌てて後ずさる。

祥にぃの手には紙袋があって、祥にぃは晃にぃの頭を抱えるように固定すると、紙袋を口鼻を覆うように当てた。

「…や、っ…ッはっはぁっ…」

晃にぃは苦しいのに何するんだと振り払おうとしていたけれど、祥にぃがかなりの力で押さえ込んでいるらしく、その腕から逃れることはできないみたいで。

されるがままに、紙袋は晃にぃの呼吸にあわせてくしゃくしゃと収縮を繰り返す。

「っはぁはぁ…はぁ、はあ……」

しばらくすると、まだ唇は青いものの、晃にぃの呼吸は規則的なものに戻っていった。6