どうしたものか。 ページ11
side A
紫はずーっと下を向いてる。
キヨ「どーした、フジ?このにーちゃんいいやつだぞ?」
フジ?「うん……でも、、」
キヨは首を傾げて、俺のあげた金平糖を貪りつつ言った。
…良い奴って…、
ヒラ「どうしたの?」
こーすけ「なにかあったか?」
フジ?「……。」
紫はきっとフジと言うんだろう。
フジはぎゅう、と服の裾を握ればこっちを見た。
餓鬼らしいクリっとした目じゃなくて、キリッとした切れ目の奥、淡い紫色の瞳をうるうるとさせた目はすごく綺麗だと思った。
キヨ「…にーちゃん?」
ぼーっとフジの目に魅入っていたがキヨの声で我に返る。
「あ、あぁ、…まだ何か俺が怖いのか?それとも菓子か?」
フジはふるふると首を振る。
…じゃあなんなんだよ。
俺は顔を顰めつつ悩めばフジが自分から口を開いた。
フジ「……おれら、…おかぁさんに、ぽい、されたの…??」
「っ……。」
小さい声で、掠れた声で、フジはそう言った。
どんなに村のためと言われても。
どんなに大丈夫と言われても。
こんな小さい餓鬼にとっては捨てられたと同じか。
フジ「ねぇ…、おにーちゃん…。」
キヨ「…フジ、もうやめろ。」
さっきからずっと笑顔だったキヨが顔を歪めてそう言った。
「…大丈夫。お前らは村のヒーローになったんだ。」
俺は気づいたらそんなことを言っていた。
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作者名:食事 | 作成日時:2018年8月16日 6時