悪女潰しの依頼が届いたようです【HQ】The mystery of twins (ページ32)

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依頼人が二十九人ページ32

『えっ、、、』

影山はAを腰まで持ち上げると、その場から猛ダッシュで走り出す。Aはいつの間にか流れていた涙を袖で拭く。影山に抱かれるままに、頭を押さえる。

国「おい！！」

後ろから、国見の声が聞こえてくるが影山は構わず足を動かす。ビュンビュンと風がさいぎる音が耳に残る。

青城の門を出て、すぐにある曲がり角を曲がると、信号がある。ちょうど青になった信号をダッシュで渡る。影山の頬に汗が流れる。信号を渡り、真っ直ぐ走ると右側の細い路地に入る。Aはギュッと目を瞑ると、影山のジャージを握りしめる。

路地を抜けると、そこには小さな公園があった。

ブランコや滑り台等、懐かしい遊具が沢山並んでいる。

影山はAをゆっくりとベンチに座らせる。夕暮れの光が二人を照らす。Aは自分の顔を手で隠し、影山の目を逸らす。

影「、、、顔を見せてくれませんか？」

『や、、、だ』

影「どうしてですか」

『凄い不細工だから』

影「Aさんはどんな顔でも可愛いですよ？」

『嘘』

影「えっ本当に可愛いです」

影山はAの手を退かそうと、少し力を入れる。Aは諦めたのか、手の力を緩める。影山はその隙を見逃さず、思い切り手を離す。

赤く染まった大きい目。

赤黒い血痕がついた小さな口。

涙の後がついた白い頬。

一言で表すと、泣き疲れた子供の顔だった。

影山はAの顔を見て思わず口を開く。

影「凄く可愛い、、、です」

『、、、あっそ』

沈黙が始まる。Aの顔をまだうっとりと見つめている影山と見つめられて困っているA。影山はしばらくするとAの頬に触れる。ヒンヤリとした感触がAの頬に広がる。

影「Aさん、、、」

『、、、っ！何、、、？』

影山の低い声にAはビクリと肩を上げる。影山はAの反応を見ながら口を開ける。

影「全部、、、話しませんか？それぞれの過去を、、、」

『私の、、、過去』