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第4話 ハイメンダール巡査の話 ページ4

 テーブルに出来た朝ご飯を並べて椅子に座る。目玉焼きをのせたトーストにコーンポタージュだけのシンプル・イズ・ザ・ベストな朝ご飯。わりと自信作。
 あむ、と一口食べればサクサクモチモチの焼き立てのパンと塩胡椒で味付けされた目玉焼きの白身、トロッと半熟の黄身が口一杯に広がる。一回は焦がしちゃったけど、これは大成功!

「店長、今日はお店どーすんの?」
「今日は開店するよ。店が埋もれているわけじゃないしな」

 そう言ってフリッツさんはコーンポタージュを啜る。そっかあ、と答えるルー君は面倒臭そうだった。気持ちは分かるよ、寒いもんね。でも開店しない事には、私達の懐は寒いまま。"働かざる者食うべからず"とかいう庶民に向けられた時代錯誤の正論が重くのしかかる。
 悲しいかな、働かなきゃ私達は生きていけない。

 朝ご飯を食べ終えて、片付けが終わったらお店の準備。果物を並べてお店のシャッターを上げる。自動ドアが機械音と共に開いて、冬の厳しい風が容赦無く襲い掛かる。
 寒すぎて頬の辺りが地味に痛い。すぐさま閉めて、お客さんを待つ事にした。……お客さん、来るかな。

 なんて私の心配はすぐに杞憂だと知った。開店から10分後に常連客のお巡りさん、ハイメンダール巡査が「よっ!」と軽い挨拶ともにやって来た。私達がまだ小さかった頃から通っている常連中の常連。今も昔もずっと巡査なんだよね、この人。
 ハイメンダール巡査はいつも決まって、少し傷ついた林檎と一房の葡萄を買っていく。「果物は傷がついてた方が甘いんですよ! だからわざわざ選んじまうです!」って前に言っていたなあ。

 慣れた手つきでレジを打って、慣れた手つきで紙袋に入れる。そして、「ありがとうございました」と言ってお客さんの背中を見送る。そう、いつもと変わらない一連の流れ──

「あ、そうそう。話があるんすけど」

 ──じゃない。どうやら今日は違うみたい。

「皆さんってー、聞いた事あります?『ゼルトザーム屋敷』の話」
「んだそりゃ?」
「あれえー? フリッツさんまで知らねー感じですか?」
「俺だって知らねえ事くらいあるわ」

 ハイメンダール巡査はヒャーと言って目を丸くした。そしてポン、と拳で掌を叩く古風なポーズをして、そんなら俺が話してやりしょう! と何処と無く上から目線の発言をする。

第5話 屋敷の噂に冒険心をくすぐられて→←第3話 フリッツ



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ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» なるほど、ありがとうございます! (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» 確か、エラという名前には美しいという意味があったはずです。平凡な見た目でも芯の真っ直ぐな美しい子、というイメージで名付けました。 (2021年4月3日 18時) (レス) id: 5f459e3a39 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 主人公のエラちゃんのお名前って可愛いですよね。この名前にしようと思ったきっかけは何ですか? (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» そこら辺もまだ語れません……今後に乞うご期待です! (2020年11月4日 10時) (レス) id: 9dfed805b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - そういえば思った事ですが、幽霊や心霊現象も含まれますか? (2020年11月4日 7時) (レス) id: ac128bc03f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:新藤緋色 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepageofSHS/  
作成日時:2020年3月29日 23時

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