第26話 夢から覚めて一日が始まる1 ページ26
よし、こんなもんかな。あ、もう少しでボールペンのインクが切れそう。確かここには"物売り"さんがいるんだよね……ボールペンって売っているかな?
とにかく、体を休めよう。ふかふかとベッドに潜り込んで、そう経たないうちに気絶したみたいに眠り込んだ。
◆◇◆
う、ん……あれぇ……今何時だろう? 眠い……あ、早くお店の用意をしなきゃ…………
「……あ、そうだった。今は……家じゃないんだあ……」
ふわあぁーー……っと大欠伸をしてベッドから体を……ああ、起こせない。眠くて仕方がない。
うへえ、髪がボッサボサ。昨日のセットしてもらった状態を思いだすと何故か申し訳ない……んんー……起きなきゃ。
体を起こして側に放っておいたスマホの電源をつける。現在時刻は七時ちょうど。いつもと同じ時間にキッチリと起きれるだなんて、自分の体内時計の優秀さに驚いた。というか体の方が脳味噌より優秀なんじゃないかな。うわあ複雑。
取り敢えずこの屋敷に来た時に着ていた服が乾いていたのでそれに着替える。洗面台で顔を洗って……ひえええええ冷たい冬に優しくない温度だ。
ドレッサーの前に座って髪の毛をブラシで梳かしていく。鏡に写るのは昨日とは違ういつもの自分。シニヨンになんて一人じゃ出来ないもんね……太いゴムで髪の毛をポニーテールに結える。うん、いつも通り。
部屋から出て隣の部屋のドアと向かいの部屋のドアを交互に見つめる。ルー君とフリッツさんってもう起きたのかな──
「おはよう、エラさん」
「うわあああっひゃああああ!!??」
悲鳴と奇声が混じった叫び声を上げると、挨拶をしてきたジークヴァルトさんは愉快そうに笑った。「すまないすまない」とカラカラ笑うジークヴァルトさんは瞬間的に目を細めてこちらを見た。その表情は優しげに見えるのに何故こんなにも周りの空気は冷えるんだろう。
「ルートヴィヒ君とフリッツ君なら、既にダイニングの方に向かっているよ」
「あ、は、そう……ですか」
「早めに行くといいよ。折角の料理が冷めてしまうからねえ」
ダイニングの方を手で指す。ありがとうございます、と小さく言って、足早に廊下を歩いた。ジークヴァルトさんは私と反対方向へとゆっくり歩いて行く。
怖い、凄く怖かった。何でだろう、優しい人のはずなのに、はずなのに……ダメ、落ち着かなきゃ。動揺を見せちゃダメ、絶対に動揺を見せちゃダメだ。あー、もう。しっかりしなさいエラ・リースフェルト!
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ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» なるほど、ありがとうございます! (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» 確か、エラという名前には美しいという意味があったはずです。平凡な見た目でも芯の真っ直ぐな美しい子、というイメージで名付けました。 (2021年4月3日 18時) (レス) id: 5f459e3a39 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 主人公のエラちゃんのお名前って可愛いですよね。この名前にしようと思ったきっかけは何ですか? (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» そこら辺もまだ語れません……今後に乞うご期待です! (2020年11月4日 10時) (レス) id: 9dfed805b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - そういえば思った事ですが、幽霊や心霊現象も含まれますか? (2020年11月4日 7時) (レス) id: ac128bc03f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新藤緋色 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepageofSHS/
作成日時:2020年3月29日 23時