ゼルトザーム屋敷の冒険【オリジナル】 (ページ15)

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第１５話　晩餐会の支度２ページ15

「全部脱いだ？じゃ、これで拭いてね～」

　今の姿を見ないように、ティアナさんはタオルを投げてきた。フッカフカで石鹸の良い匂いがする。それにほんのり温かい。湿った体を拭っていくと、タオルの優しい温かさが肌に移ったみたいで体がホコホコとしてくる。髪もタオルで拭き取って、フーッとため息を吐いた。

「あ、あのー、拭き終わりました」と声をかければ、じゃあこれを着てねぇ。と目を閉じたまま、替えの下着と服を渡される。いそいそと下着を着替えて、渡された服を広げてみる。

　う、わあ……！！すっごく可愛い服。鮮やかな緑を基調としてピンク色の刺繍の花が咲き乱れているシンプルなショートドレス。御丁寧にドレスと同じ色のロンググローブも一緒だ。それに、蝶をあしらった真っ黒なヒールの靴まで。

　なんだか私が着るなんて申し訳がないけれど、下着だけでいるわけにもいかない。ティアナさんの服が合うかどうか分からなかったけれど奇跡的にサイズがあったようで、スルリとなんなく体が通る。

　裏地がシルク……なのかな？とにかく肌触りがいい。ロンググローブの方もサイズに問題はなく、難なく腕を通せた。あ、気がつかなかったけれど口の所にドレスと同じピンクの花の刺繍があるんだ。
　可愛い。靴のサイズもピッタリ、靴擦れの心配はなさそう。

　こんな服、お店でも学校でも着ないから変に緊張しちゃうなあ。

「着替え終わった？」
「は、はい！」
「なら、こちらにいらっしゃい」

　大きなドレッサーの前に立つティアナさんは優しく微笑む。椅子に腰をかけて鏡の中の自分と顔を合わせる。ハーイ、自分。ドレスに着られている気分はどうだい？なんて馬鹿な事を心の中で言ってみたりする。

「さーて、まずは髪を乾かそうね」

　大きめのガウンを背中にかけられる。腕を通してね、と言われたから大人しく通した。まだしっとりしている髪でドレスが濡れるのを防ぐためかな？

　ヘアゴムが取られてパサッ、と支えをなくした髪が音を立てる。鏡越しにティアナさんと目があうと、優しく微笑まれた。