ゼルトザーム屋敷の冒険【オリジナル】 (ページ13)

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第１３話　部屋に案内されて、着替えを待ってページ13

「どうぞ、こちらの左側のドアがお坊ちゃんのお部屋、右側のドアがお嬢さんのお部屋、向かい側がご紳士様のお部屋となっております」

　ああ、やっぱり。なんとなく予想はしていた。そりゃ、私も１５歳だから部屋は別々でしょうよ。分かっている、でも……

　嫌だーーーー！！！怖いよーーーーー！！！！真っ暗な部屋で寝れないし、ましてやこんな不気味な屋敷で一人ぼっちですか！？そんな殺生な！！
　で、でもそんなワガママは言えない……この屋敷に不気味な噂があるのは本当だけれど、側から見ればこっちは不審者なわけだし、そんな素性の分からない人達を親切に閉じ込め、じゃない泊めてくれた人に言えない～～！！

　頭を抱えて、自分の中の恐怖心とどうにかこうにか対話という名の交渉を試みようかと思っていた矢先、「おや、私とした事が」というホルストさんの声が聞こえて、そちらの方を見る。

「申し訳ありませんお嬢さん。ご紳士様やお坊ちゃん用の着替えはなんとかあるのですが、お嬢さん用のをご用意しておりませんでした。なにぶん、ここの屋敷にはお嬢さんくらいの年齢の女性がいないので……ご無礼をお許しください」
「あ、えと、その、ブカブカでも平気です……よ？」
「それでは少々お待ち下さい」

　急いで取りに行こうと小走りになるホルストさんに、ジークヴァルトさんは一瞬顔を歪める。ん、怒っている……？
　でも、表情の変化は一瞬で、彼はすぐに真顔に戻った。

「ホルスト！いくら急いでいるからとはいえお客様の前で無礼だぞ」
「も、申し訳ございません」
「なに、久々の客人だ。少々お前も興奮しているんだろう。早く行きなさい、歩きでね」

　ホルストさんは会釈をして、廊下を歩いて行った。うーん、やっぱり屋敷を纏めている人だなあ、威厳がある。

　さーて、少しの間待たなきゃなあ。段々自然乾燥してきたとはいえ、相変わらず肌に張り付く濡れた服が気持ち悪い。体震えてきたかも。

「エラちゃん、大丈夫？」

　いつもと声の調子は変わらないのに、ルー君の顔は眉が下がって心底心配そうだった。こういうところ、昔から変わっていない。本人に言ったらムスッと膨れるけれど、可愛いんだよね。

「うん、少しくらいなら待てるよ。ルー君とフリッツさんは先に着替えてきて」

　二人は申し訳なさそうな顔をして部屋に入る。ちょっとくらいなら濡れてても我慢できるけれど、なるべく早めに持ってきて欲しいなあ、着替え。予想以上に体が冷えていたみたいで、ふえっきしゅ！と情けないくしゃみをした。