頭の中ぐしゃぐしゃ ページ49
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沖田side
目の前からAが離れていく。必死になって俺から、逃げていく。
原因は考えなくても明らかに俺なのだ。
「…っ」
なんだか急に虚しくなった。
鞄から取り出したアイツに返しそびれたノートに力を込める。
そんなに俺にされるのが嫌というのを、これでもかと理解させられて
俺だって人間だ。こたえるものだってある。
「焦りすぎた…かも」
もう少し待って、アイツを伺って、見計らって、ゆっくり、壊れ物のように。
そうすればこんな事にはならなかったのかなぁ、なんて柄にでもなく後悔する。
「…いいものじゃねぇじゃん。」
恋なんて。
授業が終わる前に賢い俺は答えを導き出して、恋のお相手は先生で。
その肝心の先生には逃げられて、情けない。
「…ポストにでも入れとくか。」
なら、前の状態に戻るまでだ。
前みたいに笑いあって、土方を馬鹿にして、俺達は馬鹿やって、そうして毎日を過ごすんだ。
そっちの方をお前は望むってんなら俺は元に戻るよ。
リセットボタンがあれば楽なんだけど。
*
「ノート、サンキュ。」
家族の名とアイツの名前が書かれたポストにノートを突っ込んだ。
この持て余した気持ちもいっそお前に返せたら、とポストを暫し眺めるが
女々しい自分とさよならしたくて、その場から逃げるように走った。
*
道中会いたくねぇ奴とばったり顔を合わせた。
「よぉ、総悟」
「え、誰でしたっけ。」
「お前アイツとは仲直り出来たのか」
「俺知らない人とは話しちゃダメって教わってるんで…それじゃ」
「アイツ…」
俺が土方から背を向けた時と同時だった。
土方は俺を引き止めるように少し大きめの声を出した。
「…すげぇ悩んでる顔してたぞ」
「…」
それを俺に言ってどうしたいんだよ。
アイツに何しろってんだよ。
俺に…どうしろって?
「わざわざどーも。俺急いでるんで、じゃ。」
今の俺は逃げるしかなくて、早足でその場から離れようとした。
何奴も此奴も自分勝手で…俺も自分勝手で
ほんと、面倒くさい。
(一層の事…)
「…馬鹿な事考えてねぇで早く家帰って寝よ。」
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百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時