【呪術廻戦】やがて溶けて血に還る (ページ5)

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醜悪ページ5

私は16の誕生日を迎え、加茂家に輿入れする日が近付いてきた。

今の季節は暑い。私の術式上、暑いのは苦手だ。太陽の光が刺すように注いでくる季節の何が良いのか。

澄んだ空気で肺を一杯にできる朝が1番好きだというのに早起きしなければその空気すらも吸えない。

こんなに退屈で何をするにも億劫な季節。そんな季節に式を挙げようだなんて、憲紀さんも変わった人だ。

今日は祭りだ。私が用意したあの浴衣、着てくれるだろうか。

部屋の片隅にある紅い浴衣。それを見てふとそう思った。

考え事に耽っては妄想を膨らませてしまう悪い癖。いつになっても治らない。

式を挙げるのは3日後。東京にいる彼らにも招待状を送った。

あれをみてどう思ったのか、なんてくだらないことを頭に浮かばせながら顔を洗うため洗面所に向かう。

右目を覆う布を外し、姿見に映る醜い顔を見る。呪いにより変色した周辺の皮膚、空気にふれるだけで焼けるような痛み。

ここ最近痣が広がった気がする。少し、使いすぎたのか。

最初は眼帯だけで隠せていた痣も、今では頬まで広がっている。自分の顔が嫌いだから、それを隠すために伸ばしすぎた前髪。

加茂「神楽」

なんで、いるの。まだお昼前なのに。

「加茂、さん」

咄嗟に布で目を隠す。

見られたくない。

こんな私、知られたくない。

加茂「憲紀と呼べと言っただろう。昼も一緒にどうだとお誘いを頂いてね。お前はここにいると聞いたものだから」

そういうと彼は私の目を覆っていた布を取った。

「や、めてくださ」

加茂「いつも必要以上に隠すからどんなに酷いのかと思っていたが。なかなか悪くないな」

私の顎をもちあげ、そんなことを呟く彼。今まで私のこの顔を受け入れてくれる人はいなかった。

その時、私は気が付いた。

ああ、

胸がときめくというのは、

こういうことなのか。