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赤「美味しいな」

『ほんと?良かった』



少しずつ口数が増えてきた。




『ちょっと甘さ控えめにしたから、どうかな?と思ってて』

赤「木兎さんは甘いもの好きだから控えめにしなくて良かったと思うよ」

『木兎先輩は、きっと甘さ控えめにしても美味しいって言ってくれると思うの』




俺だって

甘くても美味しいって言う。




『それに、明日みんなにも渡すけど、余ったら残りを食べるのは京治だからね?』

赤「そうなの?笑」

『そうだよ。だから、京治がたくさん食べれる味がいいでしょ?ごめんね、さすがに白和え味にはできなかった』

赤「やめて。想像したくない…」

『あははっ』




みんな喜んでくれるといいな〜と

空を見上げながらそう呟いている。



Aから貰って、嫌がる人は1人もいない。

100人が100人喜ぶよ。




でももし、もし、誰かが要らないと断るもんなら

俺がその分食べるから安心して欲しい。






赤「A、映画館でのアレ…嫌だった?」





聞きたいと思ってた言葉が出てきた。

空を見上げる横顔を見ていたら

この横顔を守りたいと思ったら自然と出てきた。





『…………ううん。嬉しかった、ありがとう』




やっぱりこっちを見なかった。




見ようとしなかった。






赤「嫌だったならちゃんと言って欲しい。気まずくなるなら今後一切触れないから」

『違うよ!嫌じゃないよ!』




あ、やっとこっち見た。





『嫌じゃなくて、京治って優しいなって思って。でも段々恥ずかしくなってきて…ごめんね変な態度取ってて。京治は気にしなくていいの』

赤「嫌じゃなかったから良かったけど」

『まだ心配してる?あのね、本当だよ。京治のおっきな手、包まれてるみたいで心地よくて、途中からホラー見てるの忘れちゃった笑』

赤「何だよ、それ笑」

『おっきい手が悪いの』

赤「そっか」

『ごめんね、京治気にしてるなって思ったんだけど、どうしても普通にできなくて…』

赤「俺の方こそごめん」

『京治は何にも悪くないってば〜』






Aも俺に対して

恥ずかしいとかそういう感情はあるんだ。



それがわかっただけでも

俺は今日一緒に出かけられて良かったし

ホラー映画でよかった。



2人なら絶対にホラーは避けてたから

木兎さんに感謝しなければ。

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作者名:m | 作成日時:2023年11月29日 16時

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