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近「ちょっと!孤爪、待って!」
1時間の客引き係がやっと終わった。
別にめちゃくちゃ怒ってるわけじゃない。
わたしは隣の人からぶつかられて、よろけて近藤くんの方に倒れかけて
それを支えてもらっただけ。
結果的にわたしも倒れたくなくて咄嗟に近藤くんにしがみついてしまって
それをまさかクロに見られると思わなかった。
見られてまずいものは何もないはずだし
わたしがクロ以外の人に、自分から飛び込むなんてしない。
幼い頃から、一度もない。
クロだってわかってるはずなのに
黒「何してんの・・・あり得ないんだけど」
って何。
言い方が怖かった。
どうして、一瞬しか見てないのに
あり得ないって決めつけるの。
文化祭で喧嘩なんてしたいわけじゃない。
ヤキモチ妬いてくれると嬉しいけど
わたしが男の子と話してるだけで良い顔しないクロも可愛いなんて思う。
でも、さっきのは良くないと思った。
だって今にも怒鳴ってきそうなくらい震えながら
頑張って優しい言葉に変換して話してるような。
わたし、怒鳴られるくらい怒らせるようなことはしてないはず。
近「孤爪!・・・今のままクラス戻るのは良くない。クラスに迷惑かけるから・・・保健室で少し休んでから戻ろう。」
わたしはきっと今、少し怒ってるんだ。
日頃からあまり腹が立つことはない。
穏やかだって周りから言われる。
自分が怒る姿を自分で想像できないほどに。
近藤くんに保健室に連れてかれて
近「先生、2年4組の孤爪です。気分が悪そうなので少しだけ休ませてください」
「いいわよ。大丈夫?ベッド使ってていいからね」
『ありがとう・・・ございます』
近「じゃあ、孤爪。俺はクラス戻るから。落ち着いたら戻ってきて。ちゃんとクラスのみんなには話しておくから気にせずにね」
ベッド横向きで寝転ぶ。
頭を休めたい・・・・
近藤くんは大人だ。
わたしに告白みたいなことして、
わたしに断られかけて
それでもわたしに気を遣って、保健室までつれてきてくれて。
優しい言葉をくれて。
後でちゃんとお礼言わなくちゃ。
先生に貰った水を一口飲んで。
目を瞑って。
少しだけイライラしてる頭を
横にして
わたしは少しだけ眠ることにした。
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作者名:mraka | 作成日時:2021年2月22日 0時