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Aの家を出るのを見計らっていたかのように俺の携帯が鳴り始めた。
誰？と思いながら画面を見ると「望」の一文字。
望か〜、この時間帯の望からの電話ってろくな事ないからあんま出たくないな。
まあ、出えへんかったら後々めんどくさいから出るけど。
流星「もしもーし」
ーーーーあ！流星！最近どう？
流星「はあ？これなんの電話？」
ーーーーAちゃんとどうなんかなあ、思って
流星「別に、なんともないで」
ほんまに、なんともない。
最近はやっと俺への警戒心が薄れて、敬語も抜けて、距離は縮まったかなーって思うぐらいで。
他はなんも変わらへん。
相変わらず、俺と居っても重岡くんの話ばっかやし、まあ俺がそれを選んでこの立場になったけど、何も面白味はない。
ーーーーしげとは話したん？
流星「あ、この前会ったで。海の話するときに。……確実に好きやろ、Aのこと」
ーーーーえっ？！マジで？！ていうか流星、Aちゃんのこと呼び捨て？！いつから？！なあ、Aちゃんってめっちゃピュアやん？どう？ときめかへん？どう？流星が好きそ……
流星「ごめんな、望」
だいぶ盛り上がって、煩くなってきたから、すぐに通話を切って帰路に着く。
あのあからさま過ぎる重岡くんの不機嫌な態度に対して、「怒ってる！」って焦るAは可愛いけど、ちゃうねんなぁ。
あれはどう見ても、俺に嫉妬して不機嫌になってるやん。どう見ても、アイツ、お前のこと好きやで？
……なんて、俺からは意地でも教えへんけど。
あんな分かりやすい重岡くんの言動になんも気付かないってなると、多分俺もどう表現したって伝わらへんやろな。
好きやで、って言葉にして、付き合ってくださいって言わない限りは絶対に伝わらへん。
まず、それを伝えても「ウソだ…」って信じてもらえないやろうけど。
流星「このまんま、俺の彼女になればええのに」
何も気づいてへんやろ？
俺がなんで、望のこんなしょうもない作戦に乗ったのかも。なんで俺がわざわざ「恋人関係」っていうレッテルを貼ったのかも。
別に気付いてないままでええけどな。気付かれたら、ほんまの理由を知ったら、相当驚いて、俺にめっちゃ謝ってくるやろうし。
これは一生、封印ってことで。
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作者名：つき | 作成日時：2019年7月22日 19時
