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【 p.44 】 ページ44

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仮に、重岡くんがマキさんと付き合っていたとしても!しっかり気持ちを伝える!なんて決意を固めたのは良いけど……。







流星「もう夏休みやん、なんも仕掛けられてへん」






藤井さんと出会った日以来、重岡くんと会う事はなく、あっという間に夏休みに入ってしまった。


重岡くんにはこの事を伝えてもいいですか?って藤井さんに聞いたけど、それじゃ男の影にもなんもならんやろって。


……ごもっともだけど、だからと言って重岡くんに「彼氏です」と嘘つくのは胸が痛い。






流星「夏休み入って一週間も経って、その重岡からなんの連絡もないってありえへん」


「普通は私が連絡する側ですよ!」


流星「なんで?」


「えっ、だって私が重岡くんのこと…す、…すす、す…」


流星「連絡出来ひん上に好きも言われへんって、ウブやな」






ふっ、と笑った藤井さんは頬杖をつきながらアイスティーを飲む。
絵になるな。


藤井さんとはこうして週一、二回会ってお話している。もちろん、内容は重岡くんのこと。


夏休みが本番や!って藤井さんは言ってたけど、私がいつまでも重岡くんに連絡を入れられないでいるから、ろくな展開も作れず。



とは言え、彼氏がいると言った女と重岡くんは会ってくれるものなのか?と、ふと疑問に思う。






「あの、藤井さん?」


流星「流星」


「えっ」


流星「流星くん」


「…藤井くん」


流星「…」


「りゅ……流星くん!」


流星「ん?」






ああ、もうダメだ。たかが名前呼び、されど名前呼び。


藤井さんといたらオーバーヒートしそう。外出たら暑いし、藤井さんといても顔とか熱いし。

ここまで男性に対する免疫が低下してたのか、と痛感…じゃなくて!






「彼氏がいるって宣言してきた女と重岡くんは会おうとしてくれますか?」


流星「………あ、そっか。あかんやん」






仮に私がマキさんだったら、重岡くんの想い人だしそれなりのアクションが見られるかもしれないけれど、生憎私は重岡くんの想い人じゃない。


だから、藤井さんを彼氏と言うのは……






流星「それならさ、訳あって彼女になってるんですって言ったらええやん。訳あり彼女」


「わ、訳あり彼女…全然良くない響き…」


流星「とりあえず俺の事情だけ話して、それで俺と付き合ってる風にしてるって言っとこ。その話するときは俺もおるから後は任せて」


「え?!それ私の電話…!」




流星「もしもーし」









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作者名:つき | 作成日時:2019年7月22日 19時

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