純恋文書（赤） (ページ42)

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ねえ聞いた？！流星くんに彼女が出来たって！

はっ？嘘でしょ？！どこ情報？

加奈が流星くんと同じ講義を受けてるらしいんだけど、講義が始まる前に！

えええ、ありえない！相手は誰？！

今日はやけに騒がしい。

流星って誰？彼女が出来たらそんな騒がれるような有名人なん？そんな漫画みたいな世界、存在すんねや。

ボーッとそんな事考えながら教授が来るのを待っていると、数秒後に教授が来て女の子の話し声が止まった。

そこからは普通に講義を受けて終わったけど、いつも通りじゃなかったのはこっから。

「文系の片岡さんだって、流星くんの彼女」

…………は？片岡？

講義室を出ようとしたら聞き捨てならへん名前が聞こえてきたから、思わず立ち止まった。

「流星くんからの告白らしいよ！」

「えぇ、ありえない……」

ほんま、ありえへん。どういう事？なんかの夢？

いや待てよ、片岡って俺が知ってる片岡じゃないかもしれへんやろ。人違いの可能性もあるやん。これは人違いや。片岡に彼氏は………。

あれ、俺どこ行こうとしてんの？

誰の彼氏かなんてどうだって良い。片岡に彼氏が出来てしまったことに俺は何故か動揺してる。

ほんで、気付いたら文系の棟に来てしまった。

『片岡？』

金髪の男に引っ張られた女の子。

その子は間違いなく片岡で、ふと手に目をやるとそれは恋人繋ぎになっていた。

………は？てことはほんまに片岡に彼氏が出来たん？なんで？……いや、なんでってなんでやねん。

彼氏が出来たのは良いことやろ。

『誰なん？そいつ』

この光景を見てもまだ信じられへんのか、俺は。

そこまで受け止められへん男やったっけ？真希に彼氏が出来た時はすんなり物事を受け入れたやん。

流星「今日からAの彼氏になった藤井流星」

俺の質問に答えたのは片岡やなくて、この金髪。

ムカつくぐらいイケメンやんけ。いや、ぐらいちゃうわ。現在進行形でバリバリムカついてるわ。

………いやだからなんでやねん。なんでムカついとんねん。

彼氏宣言をしてそのまま片岡を引っ張って歩いていった金髪にやけにでっかい敗北感を得た俺。

………クッソ、だから最近俺と会われへんかったんか。

昨日の夜の電話も、あの金髪から？
そしたらもっと居座っとけばよかった。

……いや、だからなんでやねん。

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